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53.置き手紙 ページ7

エマが試合会場から離れて数十分後。
Aはエマがいないことに気づいて、ひとり試合会場内を探し回っていた。
観客席にもエマの姿はなかった。
しびれを切らしたAは監督に詰め寄った。

「監督!恵麻ちゃんがどこにもいないんです!どこに行ったか知りませんか?」
「王野さんなら病院に行きましたよ」

Aは深くため息をついた。
第一、エマが怪我をしているところを見ていない。しかも、本人からは何も聞いていないのだ。Aは監督は冗談を言っていると思った。

「こんな時に冗談はやめてください!」
「本当です。嘘と思うなら更衣室に荷物があるか確認してくればいいじゃないですか」

大声で怒ったように言い返したAの声に驚いた選手らが監督とAに目を向ける。
自分に視線が集まっていることに気づき、Aはバツの悪そうな顔をして、その場をあとにした。


更衣室に駆け込んだAは、エマのロッカーの中身を確認するべく、ロッカーの扉を開けた。

エマのロッカーの中はもぬけの殻だった。
ぎょっとして何度も扉を開いては閉じた。
(なくなってる…監督の言っていたことは本当だったの…?)

愕然としたAが自分のロッカーに片手をつくと、少しだけ開いていたAのロッカーの扉が開いてしまった。
するとロッカーから一枚の紙が滑り落ちた。
真っ白な紙には小さく”A先輩へ”と書かれていた。
Aは紙を拾い上げて紙を開いた。
それはエマがAに宛てて書いた手紙だった。ゆっくりと手紙を読み始めた。


A先輩へ
これを先輩が見ている時には私がいない時だと思います。突然いなくなってごめんなさい。
試合中に抜け出すなんてマネージャー失格だと思いますが、どうしても行かなければいけない理由ができました。
正直なところ、無事に帰ってこれるかわかりません。

でも絶対に無事で帰ってきます。
だから安心して待っていてくださいね。
先輩の事だから心配すると思いますが、絶対帰ってくるので信じてください。

エマ

「もう!先輩の事だから…ってなによ!心配して損した!」
Aは頬を膨らませ、力任せにロッカーの扉を閉じた。激しい音を立ててロッカーが揺れた。

手紙を握りしめたAは心配そうに眉を八の字にしていたが、顔は安心しきっていた。
(帰ってきたらたっぷり話を聞かせてもらうんだから!絶対に無事で帰ってきて!)
Aはエマの笑顔を思い浮かべ、空を見上げた。

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加奈子(プロフ) - 星野結花さん» ありがとうございます! (2019年12月1日 21時) (レス) id: a62379125a (このIDを非表示/違反報告)
星野結花 - この小説すご〜く好きです!これからも頑張って下さい!応援しています(*^_^*) (2019年12月1日 10時) (レス) id: 09968e6ae8 (このIDを非表示/違反報告)
加奈子(プロフ) - りんねさん» 楽しんでいただけて幸いです! (2019年6月14日 20時) (レス) id: a62379125a (このIDを非表示/違反報告)
りんね - 妖怪ウォッチもイナズマイレブンも大好きだから見てて楽しいです! (2019年6月14日 20時) (レス) id: e73a160d29 (このIDを非表示/違反報告)
コロニャん - 返信ありがとうございました! (2019年6月8日 13時) (レス) id: d3d7c71152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:加奈子 | 作成日時:2019年4月4日 19時

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