■ 愛と快感を ページ6
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あの日から俺は、毎日のように
“ 快感 ” を求め、与えた。
俺の客は皆、愛と快感を求めにここにやって来る。
俺と、おなじ。
だから、俺は
目の前の客ひとりひとりに、俺が欲しい愛と快感を抜かりなく与えるのだ。
それが、俺の仕事でもあり、生き甲斐でもある。
オーナーから教わった『愛の与え方』を俺なりに身に付け、
気がつけば俺は店のNo.2にまで昇格していた。
ここの店のNo.1は、
“ 北斗 ”
という奴らしい。
未だ見た事の無いその姿に
何故か俺はなんとも言えない高揚感を抱くようになっていた。
奴は中学生のときからここで働き、
かなり長い年月ここに居るとオーナーから聞いた。
なんたって、彼は
“ 愛 ”
を知らないらしい。
其れを聞いた瞬間、
俺は奴に 俺なりの “ 愛 ” を与えてやりたい、
そう思った。
彼は気まぐれで、
たまに店に現れては、風のように静かに消える。
いつも店の奥にいて、
何をしているのかも分からない、
顔を見た事がある奴はラッキーだという。
なのに、店のNo.1なのだ。
「確かめるしか、無いっしょ。」
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