俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ47)

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Side Taiga

「…おい、おい！お前だよ！何楽しそうに話してんだよ。」

いいだろう別に、
俺がどんな話をしたって、お前に関係があるのか。

ただ、いつも脅してくる声で
なんとなく彼の状態はわかるようになっていた。
今日はすこぶる、機嫌が悪いらしい。

「…チッ、なんだよその目。舐めてんのか？」

そうして、詰め寄られる。
どうしようか、この状況。

いつもの校舎裏ならまだしも、
ここではみんなが見ている。

おい、お前らもいいのか？
クラスの奴らは知ってると思うけど、

お前らが俺を
虐めてること先生たちに、後輩たちに、バレるぞ？

そんなことを考えていたからだろうか。
気づかなかった。すぐ後ろに階段があることに。

「ほんとムカつくんだよ！」

やばい、今日は本気で殴られる。
身の危険を感じて、体をそのまま後ろにひくけれど、体がふわっとした感覚に包まれる。

俺は階段から落ちてるんだ。
それを理解するのには時間は掛からなかった。

最後に見えたのは、俺を殴ろうとした奴の顔と、

家で眠っているであろう、北斗の顔だった。

・

・

「……が、…いが」

だれ、だれが俺を呼んでるの。

でも、聞き覚えがある。優しい声。
目を覚さないといけない、そう思った。

目を開けると、
目の前に北斗の顔が映る。

「たい、が。おきた。おきた。」

どうしたの、北斗。そう声をかけようにも、喉に何かが入っていて、話せない。

ドタバタと、誰かが入ってくる。

「大我くん、目覚ました？いまこの管取るからね。
苦しいけど我慢だよ。」

いや、そんなこと言われても。
話せない俺は抵抗できずに、管を抜かれる。

「けほっ、げほっんっ」

「はぁっはあっよかったっはぁ…大我、めさましたっ」

北斗の荒い息遣いが聞こえてきて、
体を動かそうとするけど、
俺はずっと寝ていたんだろうか、体が動かない。

「北斗くん、大丈夫。少し眠ろうね。」

なにも状況がわからず、上を向くと、点滴や心電図などたくさんの機械が俺を囲んでいた。

でも少し離れたところに点滴棒があって、
あぁ、これが北斗のだ。そう確信した。

「よし、眠れたかな…大我くん、お久しぶりです。北斗くんの時も担当医をした黒です。よろしくね。」

「んんっ、はい…」

「じゃあ、まず、自分の名前、生年月日、言ってもらえる？」

「京本大我、生年月日は…」

最初は少し喋りづらかったけど、
俺は普通に受け答えしていく。