俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ49)

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Side Taiga

俺のベットの
横のソファで眠る北斗の寝顔を見る。

最後に彼の顔を思い出したのは多分、
あぁ、北斗もこんな感じだったのかなって。

もういいや、そう思ってしまった。
こんなに泣いてくれる人がいるのに。

「北斗ね、ずっと病院にいるって、聞かなくて、先生にお願いしてここで寝泊まりしてたの。」

「ずっと起きてるからさ、意識をなくすように寝ちゃったり、眠れないって言って薬で寝た時もあったけど、もうこれで安心ね。」

1番守りたい人を悲しませてしまっていた。
今は自分の体のことなんかより、その現実に胸が痛くなった。

俺に麻痺が残っている、
そんなこと言ったら北斗はどうなってしまうのか。

黒先生に言われた時は冷静だったけど、

今は、それが怖くて怖くてたまらなかった。

・

・

俺が事故…事件に遭って3ヶ月半。
俺が目を覚まして3ヶ月ほど。

ついに明日、退院することになった。

麻痺が残っていることは俺が寝ている間に、黒先生から言われていたようで、取り乱すことはなく、

「リハビリがんばろう。」と、
北斗も母さんも父さんも、みんな言ってくれた。

順調にリハビリはおこなったけれど、
完全に治るわけでもない。

自分の体なのに、自分の一部ではないみたいな感覚が何度も俺を襲い、リハビリなんてと思ったが、何度も北斗が励ましてくれた。

「大我、一緒に、家に帰ろう。」と。

あぁ、待っててくれる人がいる。
俺はまだ生きていける、そう思った。

北斗はなんだか最近とても頼もしくなった。
体調の悪い日も、少なくなってきて。

…ただ、１つ、心配事がある。

そう、学校のことだ。
あの学校にはもう、行きたくない。
もしあいつらが謝ってきたとしても。

でも、そんなの母さんたちに迷惑をかけるだけ。あと少しまた我慢すればいいんだ。そう思っていた。

「ねぇ、大我。」

俺が入院してから、北斗は毎日病室にいる。広い病室にはソファベッドのようなものが置いてあって、完全にそこは彼の生活の場だ。

珍しい、
彼の方から話しかけてくるなんて。

「どうしたの、北斗。」

「…息するの、苦しかった？」

ドキッ、俺の胸が誰かに聞こえるほど大きくなった気がする。

北斗には
本心を見られてるのかもしれない。

「おいで、北斗。」

そう声をかけると、ゆっくりゆっくり、俺のベッドに入ってくる。