Sweet memory Ⅳ【中原中也】 (ページ6)

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｢それは、違うンじゃねェのか？｣

中也君は母にそう言い放った後、私の所に来て“大丈夫か？”と、声を掛けてくれた。

｢貴方、Aの知り合い……？｣

｢あぁ、そうだ。Aの母親｣

母は、中也君に“Aの母親”と言われて、“何故、会ったこともないこの子が、私があの子の母親って分かったの……？”という顔をしていた。

｢本当、全ての責任をAに持たせて、サイテーな親だな。｣

｢“最低”ですって……？私はこの子の母親よ、ちゃんと愛情も与えてあげた、行きたいところだって行かせてあげた。休日は……｣

｢じゃあ、何故Aは今日、家から出て行って妙子さんの家に行ったか分かるか？｣

中也君の声が、私の胸に突き刺さる。

母は、彼に本当のことをグサグサと言われて、これ以上何も言えない状態だ。

｢史子！御前、此処にいたのか！！｣

後ろから、父がスーツ姿で走ってこっちに来た。

何で、私の家の人全員揃っているのよ……

父は、“誰だ？此奴は……”と、小さな声で呟いた。

中也君は、私の手をギュッと握ってから二人に言った。

｢最後にこれだけは言っておく。俺は今日、妙子さんと知り合ったばかりだが、倒れる前に彼女にこう言われたンだ。“Aの側にいてくれ”って。本来なら、親が子供の側にいてあげるべきだろうが！！｣

その後、私は中也君の手を引かれながら病院へと戻った。