この恋は、秘密【太宰治】

Secret＊3 ページ4

｢娘の誕生日の当日に、屋敷の外に出掛けさせたい？｣

｢はい、普段はこの屋敷より外に出ていないお嬢様が、街に出て色んなことを学ぶ良い機会だと思いまして……ちなみに護衛につきましては、私が務めさせて頂こうと思うのですが、良ろしいでしょうか？｣

｢それならば……良いだろう、信頼している執事も一緒ならね。｣

｢許可頂き、有難うございます。それでは失礼します。｣

良かった……何とか旦那様の許可を頂けた……

一人娘である"お姫様"を溺愛する旦那様は、奥様よりも許可を頂くのが難しい。

これで、Aと念願のデートに行ける……そう思っただけで、口元が自然と緩んでき、口の中がまたさっき食べたマカロンで甘くなってきた。


｢お嬢様、お誕生日おめでとうございます。｣

『ありがとう、ナオミ。』

今日は私の誕生日でもあり、ずっと心待ちにしていた、太宰と出掛ける日でもある。

｢後ですね……こちら、太宰さんから差出人が"D・O・M"という方から今年もお届き物が送られてきたということなんですけれど……ここ数年間、毎年送られてきてますが、お嬢様のお知り合いですか？｣

『さぁ……そんな方、知らないけれど……一応中身は確認しても良いかしら？』

｢はい！｣

ナオミには、｢知らない人｣と言っているけれど、私の勘が当たっているのなら、きっと"あの人"ね。

｢まぁ！素敵なワンピースですわね！｣

『"Happy Birthday──Princess"か……』

本当、毎年毎年素敵なメッセージをくれるわね……あの人は。

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