【刀剣乱舞】成り代わり鶴が本丸で奮闘する話【２】

練度67 ページ20

蛍丸におねだりされたので、昼食の準備をしている厨にお邪魔してスポーツドリンクを作る。
と言ってもレモンと塩と蜂蜜を適量水に溶かしただけのものだ。目分量だから味は決まってないけど好評だからまあええやろ。

コクコクと飲み干した蛍丸が光忠に卵焼きの端っこをねだるのを横目に、湯飲みのしまってある棚を見れば鶯丸愛用の急須と湯飲みはきちんとしまってあった。

大人しく畑当番に行ったようだ。

粘り勝ちの蛍丸が卵焼きを頬張る。
満足そうにもきゅもきゅと口を動かしているから、あれ多分食べてるの端っこじゃないね。

「湯を沸かしたいんだが、コンロ一ついいか？」

「お湯なら沸いてるから使っていいよ。お茶いれるの？」

「そろそろ畑当番も終わる時間だろうからな」

鶯丸は何が何でも茶を飲むし、労働の後の茶はいれたてよりも少し冷ました方が美味いから。

さておき、頃合いを見て引き続きつまみ食いを狙う蛍丸を捕獲して畑に顔を出す。

ちょうど終わったところだったのか、鶯丸と相変わらず内番衣装とは思えない着物で疲れたように腰を下ろす蜂須賀がいた。

「おつかれさん、茶を持って来たんだが飲むかい？」

「気が効くな」

「ありがとう、いただくよ」

二人の隣に私たちも座る。

空腹で若干不機嫌になって来てる蛍丸にはおやつストックの棚からくすねた豆大福を渡した。
一個くらいバレないし、その程度でお昼ご飯が食べられなくなるようなかわいい胃袋の持ち主ではない。
エンゲル係数がヤバイのは全本丸共通の悩みである。

「ぬるい」

「働いた後すぐ熱々の茶を飲めるのは君くらいだぜ」

「熱々の茶はないのか」

「俺は佐吉じゃないんでな」

鶯丸の軽口に答えながらぼうっと畑を眺める。
最初の頃に比べたらかなり広くなったもんだが、これからまだまだ広くなるんだろうなぁ。

これは人力で終わらなくなる日も近いか。
あれ、もしや農業機械士の免許が役に立つ日が来るのか！？


「すまない」

ポツリと蜂須賀が謝った。

「皆に気を遣わせているのは分かっているんだ。不快に思う者もいるだろうし、今の本丸の空気が良くないことも分かっている」

練度68→←練度66

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す