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新人二人の入社試験騒動 ページ6

「社長は何処だ!早く出せ!でないと…爆弾で」



「羅生門」



「あ、ちょっ、待っ」



「貴様は人質を保護せよ」



「云われなくても」



数秒であった。
探偵社の入社試験で、爆弾騒動を起こして解決させるというもの。
爆弾魔役の青年が灰色の外套の青年に数秒で拘束され、
人質役の少女が黒いセーラー服の少女にあっという間に保護された。



「は、速ぇ…」



手を出す暇も無かった。
いや、それ以上に、



「人相悪ッ…」



今年の新人は、かなりクセがある二人だった。



「…えっと」



その騒動ののち、下の階にある喫茶店で向き合う五名。
ボックス席なので、一人は背もたれから顔を出している。


「すンませんでしたッ!」



張り詰めた空気を壊せれば、と願った青年、谷崎がそう叫んで頭を下げたのは数分前。
その向かいに座る、二人の男女の反応は無だった。



『怖い、何か云って!何か!!』



灰色の外套の青年は、ぎょろりとした目でじっと谷崎を見つめている。
いや、見つめるというか睨みつけている。
深淵を思わせるような黒い瞳が、じっとこちらを見ている。

黒いセーラー服の少女は、青年に負けないくらいの威圧感があった。
彼女に至っては、谷崎を見つめず、つまらなさそうに珈琲を飲んでいる。
時折谷崎を見るのだが、その目が冷え切っており、なんの感情も見えないのが怖かった。



「そのぅ、昨日は本当にすみません…」



谷崎の目の前にいる二人は、犯罪者でも悪人でもない。
このやたら威圧感がある二人は、武装探偵社の新人なのだ。
昨日、試験である爆弾騒動をものの数秒で鎮圧した折り紙つきの。



「に…兄様気をしっかり。ナオミがついてますわ」



谷崎の後ろのボックス席から、彼の妹であるナオミが応援する。



「おい、何とか云ったら如何だ、新人。
お前達は試験を通過した、即ち目の前にいる谷崎は今日から先輩だ。
これから一生、無言で睨んで過ごす訳にもいかんだろう」



背の高い眼鏡の探偵社員、国木田がそう云うと、二人が同時に国木田の方を見た。



「うっ」



歴戦の国木田ですら声が漏れる程、兇悪な目と冷たい眼差しだった。
子どもだったら間違いなく泣いている、そんな目だった。

彼が怒っている理由とは→←知らないはずの己の異能力



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もこすけ(プロフ) - ちょこれーとさん» コメントありがとうございます。続編が出ましたので、そちらも宜しくお願いします。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年11月9日 21時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 今日めっちゃ更新多くて嬉しいです!!! (2019年11月9日 20時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - azukiさん» コメントありがとうございます。一回目、そして二回目は…。今後の展開にご期待ください。読んでくださりありがとうございました。 (2019年11月4日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
azuki(プロフ) - 本当の笑顔…今回が一回目で、二回目は……あー!この後の展開が楽しみすぎます!これからも頑張ってください! (2019年11月4日 8時) (レス) id: 2de50b2480 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。そんな風に言ってもらえて嬉しいです。今後も頑張る力が出ました。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年10月14日 18時

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