織田という男の力 ページ4
織田は黒い刃を操る青年から視線を外し、Aの方を見る。
「無事か？」
「無事、ですけど…」
「本物を見るのは初めてか？
異能者については知っているようだが」
ドクンと心臓が跳ねる。
知らない、なにも知らない。
「知らない、異能者なんて知らない…」
織田はその言葉に目を細める。
そして、青年の方を向いて口を開いた。
「この世界には、あぁいった異能と呼ばれるものを持つ人間が存在する。
様々な能力があるが、あの異能は随分強力なものだ」
「…そう、ですか…」
指先が冷たい。
恐怖か？いや、違う、それ以上のなにかが怖い。
手を握りしめていると、織田がおもむろに立ち上がったので咄嗟に服を掴む。
「危ない！あんなのに近づいたら、殺される！！」
まるであの力を知っているかのような鬼気迫る声だった。
織田はその様子をじっと見つめつつ、ポンとAの頭に触れた。
「大丈夫だ」
その瞬間、織田は青年の元へ、まるで散歩するかのように歩き出した。
黒い刃が生きているように蠢き、
織田の喉に触れる、その瞬間、彼は避けた。
「な…」
判っていたかのように、織田は避けた。
刃を避け、進み、避け、進む。
それを繰り返し、彼は体勢を大きく前のめりにすると、
獣のように唸る青年の腹に、拳をめり込ませた。
「…すごい」
武術の心得があるAには判る、織田作之助は強い。
そして、同時に気づいた。
「未来予知の異能者…」
「！」
織田がその時初めて、驚いた顔をした。
「見て…判ったのか？」
Aはコクリと頷く。
ぽりぽりと頬を掻きながら、織田は云う。
「驚いたな…まさか一回で見破られるとは」
「…」
やってしまった、気味悪いと思われる。
悪さをした子どものように目を伏せたAの頭に、織田の手が触れる。
「どうしてそんな顔をするんだ、褒めたんだ」
「…褒めた？」
「何か悪いことをしたのか？」
織田が心底不思議そうに聞いてくるので、悩んでいたのが莫迦らしくなった。
なんなんだこの人は、そう思った時だった。
「ッ、」
織田が倒れた青年の方を向く。
小さな刃が、そこには蠢いていた。
織田が動く、だが間に合わない。
その瞬間、
「『羅生門、やめろ』」
なにかが、割れる音がした。
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もこすけ(プロフ) - ちょこれーとさん» コメントありがとうございます。続編が出ましたので、そちらも宜しくお願いします。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年11月9日 21時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 今日めっちゃ更新多くて嬉しいです！！！ (2019年11月9日 20時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - azukiさん» コメントありがとうございます。一回目、そして二回目は…。今後の展開にご期待ください。読んでくださりありがとうございました。 (2019年11月4日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
azuki(プロフ) - 本当の笑顔…今回が一回目で、二回目は……あー！この後の展開が楽しみすぎます！これからも頑張ってください！ (2019年11月4日 8時) (レス) id: 2de50b2480 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。そんな風に言ってもらえて嬉しいです。今後も頑張る力が出ました。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年10月14日 18時
