女医からの逃亡 ページ28
本当にあの人の云う通りだった。
あの人の云う通り、情報を集め、最適解を考えたら全てうまくいった。
あの人の、おかげで。
「誰かに贈り物でもしますの？」
机に広げられた菓子や嗜好品のカタログ。
Aはそれと睨み合いながら、声をかけてきたナオミに問う。
「礼をしたいんだけど…なにがいいかと悩んでて」
「あら、それならその方の好きなものを贈ればよろしいじゃないですか」
ページをめくるAの白い指が止まる。
「あの人、なにが好きなのかな…」
何処か悲しげな声は、国木田が扉を勢いよく開けた音でかき消された。
彼はどうやら、書類事務から逃げた芥川を追っているらしい。
怒鳴りながら芥川を探す国木田に、谷崎は苦笑しながら彼の居場所を教える。
だが谷崎が指差した方向にはAがいるだけ。
「何処だ！芥川は何処に！」
「ここです」
Aが黒いスカァトを揺らしながら自身の机の下を指さした。
そこには、闇と同化している芥川が。
「お前、何処に隠れて…！」
「…流石に同情しまして」
女性の机に隠れるなど、という国木田に、Aは遠い目をする。
「それが…与謝野女医の『いいよカード』の条件が『治癒の異能を四十回受けること』だったそうで」
「厳密には"四十回解体して治す"という訳で、芥川は縛りつけられ、解体用の鉈と電鋸で」
国木田がもういい、と制止する。
ここから先は皆知っている、勿論Aも。
「…僕は四度耐えた」
「ちなみに私は計六回、後半は目隠しに加えて猿轡をされた」
「…匿ってもらい感謝する」
同じ経験をしたAは、芥川に初めて礼を云われた。
彼は深淵のような目で語る、あれは人が踏み込んではいけない領域だと。
判る、そう云わないかわりにAは静かに頷いていた。
「ところで、例の児童誘拐組織の件はどうなってる。
まさか二人とも忘れたわけでは…」
その言葉に、Aは静かに隣室の扉を開ける。
そこには、縛られて床に転がされた犯人達が。
「此奴が作戦を考え、僕が制圧した。
児童らも無事、ついでにこの組織と関わりのある犯罪組織もいくつか見つけたそうだ」
芥川の言葉に、国木田が驚いた目でAを見つめた。
彼女が見つけ出した組織の中には、探偵社が最近手を焼いている組織もあった為、探偵社はちょっとした騒ぎになった。
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もこすけ(プロフ) - ちょこれーとさん» コメントありがとうございます。続編が出ましたので、そちらも宜しくお願いします。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年11月9日 21時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 今日めっちゃ更新多くて嬉しいです！！！ (2019年11月9日 20時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - azukiさん» コメントありがとうございます。一回目、そして二回目は…。今後の展開にご期待ください。読んでくださりありがとうございました。 (2019年11月4日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
azuki(プロフ) - 本当の笑顔…今回が一回目で、二回目は……あー！この後の展開が楽しみすぎます！これからも頑張ってください！ (2019年11月4日 8時) (レス) id: 2de50b2480 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。そんな風に言ってもらえて嬉しいです。今後も頑張る力が出ました。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年10月14日 18時
