＊ ページ10
ドゴォ、と鈍い音を立てて倒れる男に跨り、Aは胸ぐらを掴んで叫ぶ。
「お前のせいで酷い目に遭ったんだぞ！
許さん、絶対に許さないからな！！
二回殴って五発蹴って川に流してから与謝野先生の医務室にぶち込んでやる！！」
個人的な恨みを叫び、白目をむいた異能者の肩を揺さぶる。
「私は！あの人達のこと！ちょっと！苦手になりそうなんだよ！！」
感情のままに叫んで、ハッとした。
やばい、云ってしまった。
「ふぅん？」
「へぇ」
ギギギッと油が切れた機械のように首を動かす。
「「今、なんて？」」
悪魔だ。
笑っているのに、目の奥が笑っていない。
「私が」
「俺が」
「「なんだって？」」
ズイッと顔を近づけられ、尻餅をついたまま仰け反る。
『あぁ、この人達、本当にマフィアなんだな』
そう思ってしまうほど、二人は恐ろしかった。
己の失態と、異能者の果てしない恨みの中、
Aがあの世の両親への挨拶の言葉を思い浮かべた時だった。
「なにしてるんですか」
救いのように聞こえてきた声と、絶望のように香る甘い匂いにAは泣きたくなった。
「あ？手前は猟犬の…」
「…まずい」
そこにいたのは猟犬部隊条野採菊であった。
異能者は彼から逃げていたのだ。
『やばい、この人が一番甘い香りがする』
Aは更に追い詰められていた。
強者である条野から香る甘い匂いに、ゴクリと喉が鳴る。
『多分、この人の血が一番甘いんだろうな』
条野もAの異変に気付いたのか、何か云おうとしてくる。
弱みを見せないように、なんとか堪えたその時。
「貴様らなにをしている！」
「く、にきださん」
Aは携帯で呼んだ国木田の姿を確認した瞬間、
彼に問答無用で抱きつくと、叫んだ。
「国木田さん、あの人達怖い、あの人達怖いんですー！！」
安心できる大人に、盛大にチクった。
「食われる！絶対に食われる！！あああああぁ国木田さぁああん！！」
国木田の顔色が一気に変わる。
事態を察し、ゴキゴキと手首を鳴らした。
「貴様ら覚悟は出来たな？ん？」
こうして、Aは危機を脱した。
その後、異能者の無効化により吸血鬼化は解除されたが、
しばらく二人はAに避けられまくり、メールも無視された。
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もこすけ(プロフ) - あっきーさん» 嬉しいコメントありがとうございます。人狼ゲーム、書いていても楽しかったです。考えるのはなかなか大変でしたが、喜んでいただけて良かったです。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月26日 23時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
あっきー - 人狼シリーズ大好きです！本当に天才だと思います！！これからも楽しみにしています！ (2019年11月25日 17時) (レス) id: d54700ef05 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございました。本当ですね、たった今気づきました。ありがとうございます。これからもこの作品を、よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
そー氏。(プロフ) - 返答ありがとうございました。いつもこの作品応援しています。ちなみにタイトルが「この十六」になってますよ「その十六」じゃありませんか？ (2019年11月3日 9時) (レス) id: 15750ac93c (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございます。小泉は、普段は髪で隠れて見えませんが、首筋にホクロがあります。基本、見えるところにはありません。ちなみに母親の雪も同じです。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年8月17日 20時
