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ナオミはその美しい顔に天使のような笑みを浮かべ、兄に微笑みかけた。






「知ってますの、兄様が悪ーい狼だってこと」







ナオミの姿に谷崎は勿論、他のメンバーも言葉を失う。
唯一、別室でその光景をみていたAと…何かに気づいた与謝野と紅葉も嗤った。
鏡花は頭にハテナを浮かべているが、ある程度の年になると判るようになるだろう。







「ナ、ナオミ?なんで…」







「私、聖女ですの」







ナオミの言葉に谷崎は目を見開く。
いや、予想をしていなかったわけではない。
ただあまりにもあっさりと云った妹に驚いていたのだ。







「でも兄様の役職は知りませんわ。
ある人の役職を知って、それをAさんに伝えましたの」






「伝えるってどうやったんですか?」







賢治の問いにナオミは微笑み、指をかかげた。







「指文字ですわ、随分前にAさんが暇つぶしに教えてくれましたの」







ナオミはそれを思い出し、Aに人狼の正体を教えたのだ。






「N.T、中原中也さんとね」







「な、なんでAちゃんに…」








「Aさんは『聖なる祈り』によって守られていました。
なのであの人は知ってます、私が聖女だと」







そう、Aは一人でこの計画を立てた訳ではない。
暗殺者と隠しつつ、聖女であるナオミを守りながら手を組んでいたのだ。







「で、でも!仮にそうだとしてなんでボクが人狼だなんて!」







「女は、愛する人の裏切りに敏感ですの」







ナオミだからこそ気づいた、谷崎が嘘をついていると。
それを判った上でAは後のことをナオミに託したのだ。







「兄様が嘘をついている、そして太宰さんも嘘をついている。
Aさんも気づいていましたし私も気づいていました」







聖女は美しい笑みを浮かべ、愛しい兄を指差した。








「貴方が人狼ですわ…に、い、さ、ま」








その瞬間、会議終了の声がかかった。
結果は火を見るよりも明らかで、







「処刑は谷崎潤一郎さんです」








そして、雪は生き残った者達を見つめて微笑んだ。







「おめでとうございます、市民陣営の勝利です」








生き残った者、市民達から歓声が上がる。







「慥かに、女は裏切りに敏感ですね」







雪はそう呟くと、別室で喜んでいるであろう少女を思い浮かべる。
実は喜んでいるなんてものじゃなく、ガッツポーズをしているなど露知らず。

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もこすけ(プロフ) - あっきーさん» 嬉しいコメントありがとうございます。人狼ゲーム、書いていても楽しかったです。考えるのはなかなか大変でしたが、喜んでいただけて良かったです。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月26日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
あっきー - 人狼シリーズ大好きです!本当に天才だと思います!!これからも楽しみにしています! (2019年11月25日 17時) (レス) id: d54700ef05 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございました。本当ですね、たった今気づきました。ありがとうございます。これからもこの作品を、よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
そー氏。(プロフ) - 返答ありがとうございました。いつもこの作品応援しています。ちなみにタイトルが「この十六」になってますよ「その十六」じゃありませんか? (2019年11月3日 9時) (レス) id: 15750ac93c (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございます。小泉は、普段は髪で隠れて見えませんが、首筋にホクロがあります。基本、見えるところにはありません。ちなみに母親の雪も同じです。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年8月17日 20時

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