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隕石斬りとの邂逅[はづき様リクエスト] ページ30

「「あ」」






ある日の夕暮れ時。
町外れの貧民街近くで、なるべく会いたく無い立場の人間に会ってしまった。
彼女、小泉Aは端正な顔に僅かに気まずさを浮かばせる。







「お前は、魔女の…」







非番なのだろう、私服を着た猟犬。
隕石斬りと名高い最強の剣士、末広鐵腸がそこには居た。
最悪の異能者と呼ばれる母の子であるAとしては、政府関係者とは会いたく無い。






「…」







「おい、何処に行く」







鐵腸に軽く頭を下げ立ち去るのだが、彼はスタスタと着いてきた。
何故着いてくる、Aは足を速めた、まだ着いてくる。






「何故、着いて、くる…んですか…」







数分後、全速力で逃げたにも関わらず追いついてくる鐵腸をあきらめ、
Aは息を切らしながら問いかけた。
彼は首を傾げ、「逃げるからだ」とまさに猟犬のような事を述べたので「はぁ?」と云ってしまった。







「逃げられたら追ってしまうだろう」








「…へぇ」







適当に相槌を打つ。
早々に話を切り上げ、逃げてしまおう。
そう思った瞬間であった。







ザッ








何もない空間から、斬撃が飛んできたのは。
左肩に走る、熱さのような痛み。







「なっ…」







何も見えなかった。
それは鐵腸も同じなようで、目を見開き、切り裂かれた足を押さえている。
掠める程度のAとは反対に、鐵腸の傷は身体強化されていながらもかなり深かった。






「今何処から…!」







「透明化の異能か…!」







傷口を押さえ、辺りを見回す。
だが敵らしき影は見えず、追撃も無い。
その代わりと云わんばかりに、傷口に痛みが走った。






「まさか…!」







ビリビリと刺すような痺れ。
これは、毒だ。







「ふむ…やられたな」







「やられたって…なんでこんな…」







「俺が今日ここに来たのは、ある異能犯罪者を捕らえる為だ。
まあ、見事に待ち伏せされていたようだ」







「…はぁ!?私は巻き込まれただけ!?」







「すまない」








すまないで済んだら軍警要らないんだよ。
Aは早くも痺れてきた左手を押さえ、







「…どうするか聞いても?」








生半可な答えは許さないとでも云うように、鐵腸を見つめた。
彼は相変わらずの無表情で、







「捕らえて、解毒薬を奪うのみだ」








と答えた。
Aが「地の果てまで追い詰めてやる」と呟いたのは、鐵腸の気のせいだろう。

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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時

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