【文スト】この世界と番外編 その十五

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自分のカードを確認した。
なかなかに面白そうな役職だ。
Aはチラリと視線だけ隣の敦に向ける。







『あの反応からして…かなり重要な役職当たったな』







このゲーム、大切なのは市民サイドの役職持ちである。
まず占い師、この役職は夜になると一人、占った相手が人狼か否か調べることができる。
霊能者は昼に追放された者が人狼か調べられ、騎士は夜になると一人、人狼の襲撃から守ることが可能となる。
基本的に占い師と霊能者は名乗り出るが、騎士は名乗り出ない。
そして、なかなか大切なのが恋人という役職。
これは二人で一つの役職で、恋人の二人は互いが市民であると知ることができるが、
どちらかが昼の会議で追放される、人狼の襲撃にあうなどした場合、もう片方も死ぬのだ。







『この二人は見つけておいた方がいいとして…まずは敦か』








自分のカードからして、敦の役職を確認しておいた方がいい。
皆が話し出す前に、Aは机の下で敦の手に触れる。
彼は驚いたような反応をするが、すぐに前を向いた。







『市民』







彼の手のひらにそう書くと、敦は手をバタつかせ、
そして今度はAの手のひらに文字を書いた。







『占い師』








『本当？』









『どうしよう』









敦は、重要な役職を引いた混乱で簡単に教えてきた。
恐らく反応からして間違い無い。
これで自分が人狼なら即アウトだったろうに。
だが、これは好機だ。







『私が占い師のふりをする、敦は夜の占い結果を私に教えて』







敦は戸惑ったようだが、『判った』と返してきた。
占い師を名乗り出て下手にボロを出すより、
頭の回転が早いAに代わってもらう方が良いと考えたのだろう。







「じゃあまず、占い師だと云う方、いらっしゃいますか？」









春野がそう云う。
Aは敦に目配せをし、スッと手を挙げた。







「え！？」







「二人！？」








「なっ…」








「へぇ…」









手を挙げたのはAと、国木田であった。
騒つくのは当然だ、二人のうち片方は必ず嘘つきなのだから。







『ところが残念、どちらも占い師ですら無い』








国木田は恐らく黒確定。
このゲームには人狼が二人の他、
人狼側の味方である嘘つき、狂人が含まれている。
国木田が狂人の可能性は極めて高い。








『さて、どう排除するかな』








Aは無表情の下で、不敵に笑った。

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