二百八十五話 ［赤毛の少女とその名前］ ページ37
目を開けると、淡い桃色の部屋に降り立っていた。
アンの部屋にモンゴメリにより転送されたのだ。
「もう、合図出すのが遅いわよ」
「…随分、興味深い話をされたものだからつい」
部屋の近くに隠れていたモンゴメリが転送を行い、Aを回収するという作戦は成功した。
モンゴメリは「ヒヤヒヤしたわ…」と額に浮かんだ汗を拭う。
「作戦の通りね」
「あとは敦がシグマを回収するだけ…か」
外に猟犬がいるであろうことを考慮し、シグマの居場所を外に伝え、一度撤退する。
仮に猟犬と会敵しても敦と鏡花なら対処できる。
「あとは私とルーシーが外に出て」
「…ルーシーって、さっきも呼んだわ」
「…あ」
モンゴメリの指摘に、Aは「しまった」という顔をする。
「あの、ごめん、不快だったら直ぐやめ」
「べ、別にいいわよ！貴女とはお友達じゃないけど、
と、特に不快でもないし特別に呼んでもいいわよ！？」
モンゴメリが顔を赤くしながら、若干大きな声で云うものだから、面食らってしまう。
「ふっ…」
「な、なによぉ！」
「いや、ごめん…なんか、安心して」
こんな状況でも、信用できる人間がいることにほっとする。
大丈夫、まだやれる。
「さて、じゃあ次の作戦に移ろう」
「まだ話は…次の作戦？」
モンゴメリの言葉に、Aはコクリと頷いた。
「ちょっと戦況が変わった。
恐らくシグマは猟犬とかち合う…そうなったら敦達の介入が必要になる」
シグマを回収できたとして、その後の逃亡の手段は一つ。
「ルーシー、敦達と合流して」
モンゴメリの異空間転送の異能。
それで逃げるしかないのだ。
「でも…貴女はどうするの？」
「私は囮役をやる。…連中にとって私の異能は喉から手が出るほど欲しい筈。
殺される可能性は低いだろう」
「でも…」
「大丈夫」
Aがベストのボタンを開け、内側を見せた。
モンゴメリが息を飲み、そして、
「貴女…そんなもの仕込んでたの？」
と呆れたように、そして何処か引いたように云う。
その反応にニヤリと笑うAのベストの内側には、
「備えあれば憂いなし…ってね」
閃光弾や銃、刃物がまるで武器庫のように仕込まれていた。
その一つ、小型銃を取り出す。
「要る？」
「…一応もらっておくわ」
銃を受け取ったモンゴメリは、「あれなら大丈夫そうね」と小さく呟くのだった。
二百八十六話 ［猟犬としての彼］→←二百八十四話 ［所詮その程度］
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さんしょくだんご(プロフ) - この作品の中の文章の数々に心をうたれました。素晴らしい作品を本当にありがとうございます (7月24日 1時) (
レス) @page49 id: 9ce43d97c3 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 田中りんさん» コメントありがとうございます。小泉は「これすごく便利では」と思い、喜んでいました。某幹部さんは爆発した瞬間、元相棒の仕業だと気づきました。メリークリスマス、そして良いお年を。 (2020年12月25日 19時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
田中りん(プロフ) - 初コメ失礼しますー 銃で喜ぶ小泉ちゃん…私もエアガンとか大好き人間なので人のこと云えない…某幹部さんは完全なるとばっちりですねwwメリークリスマス＆良いお年を！！ (2020年12月25日 0時) (レス) id: 59051e49c3 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - まっちょりさん» お久しぶりです。楽しみに待っていてくださりありがとうございます。皆様を楽しませることができる続編をかけるように頑張ります。応援よろしくお願いします。 (2020年12月18日 23時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 雪月さん» お久しぶりです。待っていてくださりありがとうございました。20巻は驚きの嵐でした。 (2020年12月18日 23時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年5月18日 18時
