【文スト】この世界と番外編 その十三

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拝啓、探偵社様。
早いもので特務課に来て三日が過ぎました。
そちらはいかがお過ごしでしょうか。
また太宰さんが川に飛び込んでいることでしょう。
探偵社の冷蔵庫に入っている羊羹、賞味期限があと二日なので早めに食べてください。
それと最近、睡眠の大切さと社畜という言葉の意味について知りました。
やはり身を以て知ると何よりも経験になるようです。
最初こそ遠慮がちだった特務課の方々とも打ち解け、
友達百人できるかなという歌が脳内に流れ始めています。
ところで、友達百人というフレーズですが、
その後百人で富士山の上でおにぎりを食べるという歌詞があります。
百人友達がいるのに、自分を含め百人でおにぎりを食べるということは、
実質一人余るのでは無いかということに気づきました。
それについてどうお考えでしょうか、私は








「……寝よう」








そこまで書き終えて、Aはそう決意した。
特務課に来て三日、早くも疲労が体を蝕んでいた。








「…辻村さん」








手紙を書く前にまとめ終えた資料を淡い青緑色の髪をした女の元へ持っていく。
彼女は辻村、特務課内でも年が近く、以前にも面識はあった。
資料に目を通してもらおうと彼女の元へ行ったのだが、
彼女は机に突っ伏して盛大に眠っていた。







「辻村さん」







「…うっ、綾辻せんせぇ…調教は、調教はご勘弁を……」






辻村の席にはエナジードリンクの瓶が山のように積まれてた。
これは当分起きそうにないな、とAは近くにあった毛布を彼女の肩にかけてその場を後にする。







『特務課って…想像よりブラックなんだな…』








ここに来て三日、特務課は激務に追われていた。
睡眠時間を削るどころか仮眠すら取れない激務。
Aは資料を見て数字をまとめる程度の仕事を任されたが、
それも凄まじい量になり、目を閉じても数字が眼に浮かぶようになった。







「眠い…」








初日の村社の心情がよく判る。
ひたすら眠い、だが仕事が終わらない。
負のサイクルだ。







「これはよくない」







食事は栄養補助食品かコンビニ。
エナジードリンクの飲み過ぎも体には良くない。
以前、父がそれで一度倒れかけたことがある。







「…かいかく」








ろくに回らない頭でそう呟き、Aは懐から怪しげな薬を取り出した。

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