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特務課の本部は、何重ものセキュリティに守られた場所だ。
入る時もボディチェックがされた。






「小泉Aさんですね」






出迎えたのは、青木という背の高い男と、村社という若い女だった。
どちらも坂口安吾の部下としているのを見たことがある。






「こちらに」







案内される際、二人の視線がこちらをチラリと見た。
やはり警戒されているようだ。







『当然か、魔女の娘がいるんだから』







恐らく妙な行動一つすれば制圧されるだろう。
目の前の二人はそれだけ腕が立つ、それくらいは判った。






「眠ぃ…」







おもむろに、村社という女性が地を這うような声でそう呟いた。






「おい」







「だって今何徹目だと思ってるんスか。眠い、ただただ眠い、畜生」






村社は悪態をつきながら目の下を押さえていた。
青木はそれをたしなめるが、そんな彼の目の下にも隈がある。







『なんか嫌な予感が…』







ようやく本部にたどり着く頃には、村社が眠いと呟いた回数は二桁を超えていた。
かなりの不安を抱きながら、本部の扉があけられる。
そこには、






「情報はまだか!!」






「国内の異能者リストの見直しは!」







「北欧の異能者集団についての会議が」







地獄が広がっていた。
怒号とコンピュータの音が響く部屋。
窓はなく、人工の光だけが存在している。







「最近、ちょいと厄介な事件が多発しとってな」







いきなり聞こえた声に後ろを向くと、そこには眼鏡をかけた和服の大柄な男が立っていた。






「種田や、種田山頭火」







「種田……長官の?」







「急に来てもらってすまん」







種田はそう云うと、扇子を広げてパタパタと仰ぎだす。
その目の下には隈が。






「ちょいと手を貸して欲しい、探偵社の」







「…それで、私を?」







「あぁ」







種田は、かつて特務課と敵対していた少女とよく似た少女を見下ろす。
本当によく似ている、生き写しのようだ。







「よろしく頼む」








Aは尋問じゃないのか、という言葉を飲み込み、







「よろしくお願いします」








そういって頭を下げた。
予想を遥かに上回る忙しさの特務課の中で、その声はやけに大きく聞こえた。

*→←特務課への助っ人 [nyabixi@ノーアル団様リクエスト]



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もこすけ(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。直しておきます。ありがとうございました。 (2021年11月8日 17時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
- すみません、「あの娘は誰の子?」の小雪ちゃんのセリフで「私は過去から来たんだよ」と言っていますが「未来」の間違いではないでしょうか私の勘違いや解釈違いであったら申し訳ありません (2021年11月7日 17時) (レス) @page32 id: b7271b87d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 折角のお話、申し訳ありませんでした。応援のお言葉、ありがとうございます。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ワンコソバ(プロフ) - そうでしたか…。残念ですが、それからのもこすけさんが書く作品を楽しみにしてます!頑張ってください!(^○^) (2019年5月4日 20時) (レス) id: c31389e4fc (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。そういった応援はとても嬉しいです。リクエストなのですが、現在締め切っております。他作品とのコラボも、基本的にご本人様からのリクエストのみ受け付ける形となっています。折角のお話なのに、申し訳ありません。 (2019年5月4日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年4月6日 19時

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