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もし、この時代が過去だとしたら太宰がマフィア幹部だと云うことも納得がいく。
だからこそ、捕まるわけにはいかない。






『敦、立て』







目だけでそう指示すれば、敦は判ったのかコクリと頷いた。
このまま後ろに行けば逃げられるはずだ。







『鏡花は…』







鏡花の方を向いたAは血の気が引いた。
鏡花の後ろで、静かに銃口を構える者がいた。







「『夜叉白雪!!鏡花を守れ!!』」







その瞬間、夜叉白雪が現れ、銃口をその刀で切り捨てる。





「へぇ、君異能者なのかい…」







太宰の目の色が変わる。
今と同じ、"敵の嫌なことを考える"ときの目だ。







「ひっ、この、バケモノ!!」







銃口を切られた構成員が、パニックを起こし、壊れた銃で鏡花を殴ろうとする。
いつもの鏡花なら反応できただろう。
でも、あまりの事態に反応できていない。







ガッ







「ッ、ゔ…」







鈍い音が響いた。
殴られると同時に相手の顎を蹴り上げる。
一瞬飛びかかる意識の中、Aは鏡花の肩を掴む。







「敦!鏡花!!そのまま走れ!!」







叱咤するような声に、二人はハッとした。
そして鏡花の背を押し、路地の奥へ走らせる。







「…やるねぇ、でも女の子なんだから顔に傷をつけちゃ駄目じゃない」







Aは口の端から伝う血を指先で拭い、そして不敵に笑った。







「この程度、痛くも痒くもない」







凛として、壮絶な美しさを持つ少女。
赤い血すら口紅のように白い肌を彩り、それ以上に強烈な紫が太宰を射抜く。







「仲間の為なら死んだっていい」







最後に、Aの目は太宰を見据えた。
紫が鳶色の太宰を捕らえる。







「私は、今のあの人の方が好きみたいだから」








そう告げ、彼女は二人とも同じように路地の奥を走ったいった。
残された部下達は太宰に指示を仰ぐように目を向ける。






「太宰幹部、いかがしましょう…」







「そうか、ふふ…そうか、そうか。
うふっ、ははははは!いいね、面白い!!」







太宰は突如顔に手を当て、笑い出した。
可笑しくて仕方ない、という風に。







「あんなに生に執着してそうなのに、仲間の為に死ねるか…ふふふ」







太宰は、誰もが震えそうなほど美しい笑みを浮かべ、笑った。







「いいね、その信念試してみたくなった。
…あの目、私に向けさせてやりたいよ」







ぞっとするほど低く、艶っぽい声が響いた。

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もこすけ(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。直しておきます。ありがとうございました。 (2021年11月8日 17時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
- すみません、「あの娘は誰の子?」の小雪ちゃんのセリフで「私は過去から来たんだよ」と言っていますが「未来」の間違いではないでしょうか私の勘違いや解釈違いであったら申し訳ありません (2021年11月7日 17時) (レス) @page32 id: b7271b87d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 折角のお話、申し訳ありませんでした。応援のお言葉、ありがとうございます。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ワンコソバ(プロフ) - そうでしたか…。残念ですが、それからのもこすけさんが書く作品を楽しみにしてます!頑張ってください!(^○^) (2019年5月4日 20時) (レス) id: c31389e4fc (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。そういった応援はとても嬉しいです。リクエストなのですが、現在締め切っております。他作品とのコラボも、基本的にご本人様からのリクエストのみ受け付ける形となっています。折角のお話なのに、申し訳ありません。 (2019年5月4日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年4月6日 19時

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