検索窓
今日:8 hit、昨日:23 hit、合計:237,165 hit

ページ17

突然、体に入った衝撃が、投げ飛ばされたことによる痛みだと気づいたのは床に叩きつけられた後だった。






「ッ、なっ…」







床に叩きつけられたAは、自分を見下ろす女を見て目を見開いた。







「油断してると、猫に噛みつかれるって習わなかった?」







にゃあ、とクールな雰囲気に似合わない鳴き声をあげた少女。
死んだはずの、こちらの世界のAが目の前には居た。
たしかにナイフを刺した、出血も見た、脈がないことも確認したのに。







「こっちは生憎、どこぞの唐変木のせいで夜道で襲われるなんてこと嫌と云うほどあるんだよ。
出血したように見せる仕込みも、脈を一時的に止める方法も、川に流された時の対処法も知ってる」





Aの手が、倒れるAの胸ぐらを掴んで起き上がらせた。
そしてロビーにある、聖母の像にAを押し付けた。
額に拳銃を突きつけて。






「云った筈だ、仲間に手を出したら、殺すと。
私は探偵社でお前は鼠、駆除する理由は幾らでもある」






「…"あの人"の云う通りだ…。
所詮お前は"こちら側の人間"…決して正義になんてなれない」







同族嫌悪、そう云わんばかりに互いを睨む。
その様子に、仲間ですら手が出せない。
触れれば切れてしまいそうなほど鋭い殺意。







「「お前なんて大嫌いだ」」







このまま行けばどちらかがどちらかを殺す。
そう思い、仲間たちが間に入ろうとした時。







「はぁい、そこまで」







のんびりした声と共に、Aの肩に手が置かれた。







「いくら自分だからって云っても容赦ないよ」







「太宰さん…」







「はい、君も元の世界にお帰り」







太宰の手が、鼠のAに伸びる。
その直前、Aはまるで"魔女である母親"のように嗤った。







「どうせ、同じ人間なんだから違いなんて無い」







だが、その声はひどく悲しげで。







「光で生きられるなんて…そんなはずない」







次の瞬間には、Aの姿は消えていた。
最後の姿は、光の下に行けなかった自分の末路のようで後味が悪い。







「…不満そうだね」







「…もう一回投げておけば良かった」







「あ、そっち?」







「…あと、入れ替わりに気づいてたなら探して欲しかった」







「みんなぁぁぁ!ツンデレ来たよー!!」







「ッ、やめろ!!」







こんなやりとりも、選んだ道が違えばあり得なかった。
そう思わされた、事件であった。

それ以上でありそれ以下であり [ここ様リクエスト]→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (235 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
559人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

もこすけ(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。直しておきます。ありがとうございました。 (2021年11月8日 17時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
- すみません、「あの娘は誰の子?」の小雪ちゃんのセリフで「私は過去から来たんだよ」と言っていますが「未来」の間違いではないでしょうか私の勘違いや解釈違いであったら申し訳ありません (2021年11月7日 17時) (レス) @page32 id: b7271b87d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 折角のお話、申し訳ありませんでした。応援のお言葉、ありがとうございます。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ワンコソバ(プロフ) - そうでしたか…。残念ですが、それからのもこすけさんが書く作品を楽しみにしてます!頑張ってください!(^○^) (2019年5月4日 20時) (レス) id: c31389e4fc (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。そういった応援はとても嬉しいです。リクエストなのですが、現在締め切っております。他作品とのコラボも、基本的にご本人様からのリクエストのみ受け付ける形となっています。折角のお話なのに、申し訳ありません。 (2019年5月4日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もこすけ | 作成日時:2019年4月6日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。