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ロバーの片隅に仕掛けられた爆弾、開けてみるとそれは解除すると他の爆弾が起爆する厄介なタイプであった。






『これを解除出来ても他が爆発する。…となると軽く見積もって10個は設置してあるだろう』






よくやるな、と思った。
同時に、これ以上ない好機だとも。
そう思った時、携帯が鳴り響く。






「はい」







『A、緊急事態だ。
例の爆弾、本物らしい。乱歩さんが推理した』








電話に出たのは、焦った声の国木田だった。
話によると、この爆弾は一つで半径100メートルは吹っ飛ばせる威力らしい。







『それが町中の至る所に設置された。
爆発すれば何人も死ぬ、絶対に阻止せねばならん』







もし、それが爆破したらどうなるのか。
多くの者が死に、そして非難は探偵社へと向かうだろう。






『爆発物処理班の到着を待っている間に爆発する。…解除をお前に頼みたい』







「はい、勿論です」







フロアの人間を一応、全て外に出して爆弾の蓋を開ける。
様々な色のコードが並ぶ、高機能爆薬のものだ。







『"見たことがない爆弾"だろう。
解除の仕方はこちらから指示をする。その通りにコードを切ってくれ』







「了解です」







鋏を持ち、爆弾の方を見た。
そして、フッと口角を上げる。






『やはり気づかないか』







電話越しに指示をしてくる国木田も、自分が入れ替わっているなど気づきもしない。
当たり前だ、見抜けるはずないのだから。






パチン







最初のコードを切った。
指示通りにコードを切っていけば、最後には三本のコードが残る。
赤、青、黒の三本だ。








『その三本のうち、正解は青だ。
赤を切ればその爆弾以外が起爆し、黒を切れば全て爆発する』







Aはそこまで聞くと、持っていた携帯を床に置いた。
なにかを云う国木田の声を無視して、鋏をコードにかけた。







『結局、誰一人として気づかないなんてね』







鋏の刃が当たるのは、赤のコード。
切ればこれ以外が爆発し、被害は甚大なものとなる。







「手始めに、社会的ダメージを受けて貰おうか」







ドストエフスキーが、あの人が思い描いた世界の為の踏み台になってくれ。







「さようなら、探偵社」







鋏の刃が、コードに食い込んだ瞬間。








『…やはり、お前は違うか』








「…え?」








コードが切られた。
そして、永遠にも思える静寂が訪れた。

*→←*



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もこすけ(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。直しておきます。ありがとうございました。 (2021年11月8日 17時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
- すみません、「あの娘は誰の子?」の小雪ちゃんのセリフで「私は過去から来たんだよ」と言っていますが「未来」の間違いではないでしょうか私の勘違いや解釈違いであったら申し訳ありません (2021年11月7日 17時) (レス) @page32 id: b7271b87d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 折角のお話、申し訳ありませんでした。応援のお言葉、ありがとうございます。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ワンコソバ(プロフ) - そうでしたか…。残念ですが、それからのもこすけさんが書く作品を楽しみにしてます!頑張ってください!(^○^) (2019年5月4日 20時) (レス) id: c31389e4fc (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。そういった応援はとても嬉しいです。リクエストなのですが、現在締め切っております。他作品とのコラボも、基本的にご本人様からのリクエストのみ受け付ける形となっています。折角のお話なのに、申し訳ありません。 (2019年5月4日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年4月6日 19時

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