【黒バス】藍色少女の噂話

38話 ページ40

冷たい水が彼女の顔を伝う。

初夏なだけに冷たい水は心地よい。




顔をあげるとハンカチで顔を軽く拭く。

すると、後ろに気配を感じた。








「なんでしょうか？…………緑間さん」



険しい表情で立っていたのは緑間。

あらかた虹村あたりに「連れ戻してこい」と言われたのだろう。






「すぐに戻りますよ……今はほっといてください」






「………悪くない戦いだったのだよ」





「は………？」




思わず緑間を見つめてしまう。等の本人はそっぽを向き、ムスッとしている。

今まで藍澤に「教え方が悪い」だの「噂を流す気にくわない女」だの言っていた緑間が

初めて称賛の言葉を口にした。




『空気は読める人みたいですね』





「……………無様に負けていたがな」





『前言撤回』




緑間はふんと鼻を鳴らすと眼鏡のブリッジを押し上げる。

言い返そうとしたが、自分が負けたことは事実。

言い訳は見苦しいと判断し、黙った。

反論しないことを肯定と緑間はとったようだ。





「………さっさと戻るのだよ」






「言われなくてもわかってます。指図しないでください」






スタスタと早足で歩き始めた藍澤に緑間は顔をしかめつつも

一瞬、悔しそうな藍澤の表情を見て黙った。

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体育館に戻ると何事もなかったかのように仕事をこなす藍澤。

その仕事ぶりに桃井は安心した。



虹村も藍澤が「赤司さんに負けたのでマネージャーやめます」と言うのではないか焦っていた。

しかし、敗北がいい刺激になったのか先程よりも仕事に積極的になっていた。






『ひとまず安心だな』




虹村はそれからバスケ部の力になるであろう藍澤を見つめ、そう思った。

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