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マフィアのお茶会 [夜叉夜叉様リクエスト] ページ19

おかしい、自分は探偵社の人間の筈。
Aは目の前に置かれたティーカップを見つめた。






「A、紅茶と珈琲、どっちが好きじゃ」







「…珈琲」







そう答えると紅葉は嬉しそうに微笑み、珈琲を用意する。
チラリと視線を横に移すと、エリスがにっこりと笑った。
そして、





「A、どのケーキが食べたい?」





「…甘くない、もの」






「ケーキは甘いから美味しいのよ!」






プンプン怒る幼女に、Aは強引に笑みを作るが、上手く笑えなかった。
エリスから逃れるように窓の外を見れば広がるのはヨコハマの町並み。
今自分は何処にいるのかと云うと、






「たまには敵味方関係なく楽しく茶会でもしようじゃないか。ねぇ、小泉A君」







向かいに座る男、この建物の主人である森鷗外は何処と無く太宰を彷彿とさせる笑みを浮かべた。
それに対し、Aは引きつった表情しか出来ない。
マフィア本部の、上層部のみの茶会に何故か探偵社員である自分が参加していた。






「…他の社員も呼べば良いのでは?」







下手に刺激しないように森に云えば、彼はにっこりと笑うだけ。
つまり、連れて来られたのは自分だけなのだ。







「いやでも、連れてくる時に構成員を三人気絶させるとは驚いたね」






「一応マフィアでも腕利きの者達だったのじゃがのう」






街を歩いていたらいきなり車に押し込められたら誰だって抵抗する。
ただAの場合、的確に顎や首の急所を狙う為用心しないとやられる。
その内容を楽しげに話す辺り、マフィアらしかった。







「協定はありますが、流石にこれはまずいかと」







「あぁ、そこは気にしなくていい。一応連絡は入れたからね」







疑いの眼差しを向けてくるAに、森はクスリと笑う。
かつての友人に瓜二つだが、彼女はこんな顔はしなかった。
Aがいよいよ不信感をあらわにし始めた時、部屋の扉が開いた。
入ってきたの中也と。






「お姉ちゃん!」







「久作…」








可愛がっていた弟のような存在であるQが抱きついてきた。
一瞬表情が柔らかくなり、そこでハッとする。
これでは帰ろうにも帰れない、これも作戦だったのだ。






「楽しくお話しようじゃないか」








森の言葉に、Aは暫く沈黙し、小さく頷いた。
その反応に森は微笑み、探偵社に一報を入れた際、死ぬほど怒鳴られた事は黙っておこうと思った。

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もこすけ(プロフ) - 白織さん» コメントありがとうございます。あの二人は小泉も混ざるとかなりカオスになります。もう少し続くのでお楽しみに。 (2019年1月6日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
白織 - リクエストありがとうございます!最初からカオスで笑いました。これからどうなるのか楽しみです! (2019年1月6日 17時) (レス) id: a1083074eb (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 雪豹さん» コメントありがとうございます。中也さん、混乱して語彙力低下してますね。笑っていただけて良かったです。 (2019年1月6日 17時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
雪豹(プロフ) - 中也の「…ごめんちょっと訳判らねぇや」で、吹いた(ノ∀≦。)ノ (2019年1月6日 17時) (レス) id: 5c79542a8a (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 玲衣さん» コメントありがとうございます。制服で夜の街を歩いたせいで太宰さんが死ぬほど職質を受けた事件です。危ない絵面に見えたのでしょう…。 (2019年1月4日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年12月9日 11時

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