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「あ"ー…」





地を這うような、Aには相応しくない声に中也は慌てて咳払いをして、開きつつあった足を閉じた。
今、自分はAなんだ。
バレたら芋づる式にAの入れ替わりもバレる。






『チッ、早くどうにかしねぇとな』






女らしい、細い手を見つめながらそんなことを思う。
すると、後ろから大嫌いな声が聞こえてきた。






「やっほぉ〜Aちゃんおはよー」






『このクソ野郎、今昼だぞオイ』






目の前でひらひら手を振るのは元相棒の太宰。
だがそんな悪態、彼女の体でつけるはずもなく、引きつった顔でおはようございますと返す。
握りしめた拳を顔面に当てないように我慢しながら。





「…うん、おはよう。
聞いたよ、犯人の事情聴取、面白いことしたんだってねぇ」






「あぁ…まあ、はい」






「うん、いい子いい子」






『ッだぁぁぁ!!気持ち悪ぃんだよコイツぅぅ!!』






子猫でも撫でるように頭に手を置く太宰に殺意すら湧く。
コイツに気安く触るなとか、そんなことも考えつつ。





「じゃあそんな君に私が珈琲を淹れてあげよう。
砂糖は"いつも通り"二つで構わないかな?」







「あ、はい」







一瞬、太宰がなにかを見透かしたような目をしたのを中也は見逃さなかった。
なにか失言でもしたか、そう考える間もなく太宰はいつもの表情に戻った。
相変わらず彼の脳内は元相棒でも判らない。






「チッ…気味悪ぃな」







太宰が居なくなった後、中也は椅子に座って呻く。
これはいつボロが出るか判らない。
再度舌打ちをしそうになった時、太宰が戻ってきたので切り替える。






「そう云えば、この後マフィアとの会合だけど君も行くよね」






「…あ」







受け取った珈琲をもって、中也はつい声をもらした。
やばい、重要なことを伝え忘れていた。






『この後非公式の会合あるの彼奴に云ってねぇ!!』






しかも今日、探偵社との会合には紅葉が行くのだが、
そこには護衛として自分…つまり中原中也も赴く事も。
冷や汗を背中に垂らしながら中也はヤベェと目を泳がせる。






『うまく乗りきらねぇと…入れ替わりがバレる!!
つーか彼奴絶対怒ってるだろ!!』






脳裏でキレるAを想像するがAは今自分の体なので色々と混乱した。
一時間後、探偵社の会議室でAと入れ替わった中也と、中也と入れ替わったAが対面する。
互いのプライドをかけた勝負が、今始まる。

*→←*



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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時

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