無明の王と出られない部屋 ［桜紅葉狩り様リクエスト］ ページ48
突然の衝撃と共に、次に目を開けるとそこは見慣れた真っ白い部屋だった。
通常、出られない部屋。
今まで吐血するほどの内容を幾度となく繰り返した部屋に、また閉じ込められた。
もう何も思わない、Aの目が濁りきった。
「はぁ…今回の相手は誰だろう…もうこの際誰だっていい…」
無気力にそう答え、そろそろ部屋に投入されるであろう二人目を待つ。
すると、ドサリという音と共に二人目が落ちてきた。
男だった、それも見慣れた…とそこまで見てAは叫んだ。
「チェンジ！！」
「…何ですかいきなり…」
二人目は、Aの声に怪訝な顔をする。
なんでよりによってこの人だよ。
なんでよりによって、立場的に非常に危ない猟犬寄越したんだよ。
「…貴女は」
「最悪だ…」
共に部屋に閉じ込められたのは、猟犬部隊条野採菊。
キリキリと痛む胃に呻きながら、Aはある程度の距離を取りつつ、部屋の説明をした。
そうして帰ってきた反応は、至極当然のものだった。
「なんですかそのふざけた部屋のルール」
「それはこの部屋の主に云って」
状況を確認飲み込んだ条野は、試しに壁を殴ってみた。
その際に、ゴッとかドカッとか云う音じゃなくパァン！！という
人が出してはいけない音だったことは多分気のせいだと思う。
「私でも壊せない壁ともなると…本物のようですね」
流石は猟犬、飲み込みが早い。
…あの拳で殴られたら即死だなと考えつつ、そろそろ話し出すであろうモニターを見つめる。
『出られない部屋にようこそ』
無機質な声にもう何も感じなかった。
早くお題を云え、早くこの部屋と猟犬からおさらばしたい。
自分はそれだけ面倒な立場にいるのだから。
『お題は…相手の体液を経口摂取すること』
お題を聞いた瞬間、Aはビシリと固まった。
条野はその端正な顔を歪め、悪趣味と呟く。
『それでは、頑張ってください』
プツン、と切れるモニター。
そして訪れる、沈黙。
「…」
「…」
「…あの」
お互いが静かになる中、Aは震える声で条野の方を向いた。
その顔に浮かぶのは、得体の知れない恐怖。
「たいえきって？」
「体液は、体液です」
その無情な返答に、Aは「うわ…」とガチトーンで呻き、そしてその場に座り込んだ。
再び、沈黙が部屋を支配した。
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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます！作品とても楽しみです！ (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん，ｍさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年10月28日 18時
