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Detective対Black Rulerのバンド対決。
ギターの太宰は、ボーカルの少女に声をかける。
彼女はブツブツと歌詞に呟き、驚くほど集中していた。
「もうすぐ本番だ。…いけるかい?」
声をかけられると、少女はその顔をあげ、たしかに頷いた。
敵はライブを始めていて、鳥肌が立つほどのボーカルの歌声と演奏を聴いた。
あれを見ても物怖じしない度胸は気に入った。
「さぁ、常識を覆しに行こうじゃないか」
太宰の手を取った少女は、マイクを握りしめ、ステージに上がった。
「…彼奴か」
ステージに上がってきた、黒髪の少女を見て中也は眉間に皺を寄せた。
確かにゾッとするほどの美貌の少女である。
長い黒髪を結い上げたその姿には妖艶さを感じるが、いくら綺麗でも心を動かす演奏が出来なくてはなんの意味もない。
ボーカル変更を聞かされていなかったファンの動揺をかき消すように
ギターが、ドラムが、キーボードが音を奏でる。
そして、少女がマイクを握りしめ、その声を響かせた。
その瞬間、会場の空気は変わった。
「…!!」
激しい歌詞と、苛烈なまでの歌声。
それに会場の誰もが息を呑み、そして彼女に目を奪われた。
美しさの中に存在する、圧倒的なまでの支配力。
才能、その一言を嫌でも感じてしまう力強さと苛烈さ。
「…ッは…すっげぇなこりゃあ…」
気を抜けば引き込まれ、戻れなくなる。
その姿はまるで人々を支配する女王だった。
音が空間全体を震わせ、耳を支配した。
「あの女…本当に素人か…!?」
芥川すらも目を見開き、その声に見入っていた。
あんなのが素人でたまるか、中也はそう思い、引きつる口元を更に引き上げた。
直前の調べでは、彼女は良家の出の素人だった。
だが燻っていた激しい感情をぶつける姿は誰もが見惚れるほどの鋭さ。
『あぁ、欲しい』
ゾクリとした感覚と共に中也は曲を終え、興奮しきった歓声に包まれる少女を見つめた。
荒い息をする唇が妙に色っぽく、感情を吐き出しきった興奮に頰が紅潮していた。
『絶対に、手に入れる』
一瞬、彼女の隣に立つ元相棒と目が合った気がした。
彼は少女を熱のこもった目で見つめる中也に、不敵に笑みをこぼした。
彼もまた、彼女の才能に惚れた一人だから。
ここから、何処にも属そうとしない少女を手に入れる対決が始まる。
音の世界を巻き込んだ長い長い戦い。
これが先触れ、前兆し。
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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時