検索窓
今日:2 hit、昨日:14 hit、合計:272,580 hit

ページ46

「…あ?今なんつった?」





「ひっ…Detectiveのボーカルが変更になったみたいッす…」






超人気バンドグループ、Black Rulerのボーカル中原中也は眉間に皺を寄せて、
あまりの気迫に押されているベース担当立原道造を睨む。






「冗談だろ?まさか急ごしらえのボーカルで対バンするってわけじゃねぇよな?」






「そ、それがボーカルの中島敦から、メンバーでない、小泉Aって云う女に変更になったと…」






聞いたこともない名前に中也の機嫌は更に悪くなった。
それもそうだろう、対バンをするというのに、相手は本来のボーカルを外して
メンバーですらない名前も知らない女を置いたのだ。
舐められている、そう考えるのも無理はない。






「チッ…何考えてやがんだ?
俺らがそれで手を抜くとでも思ってんのか?」






これは戦う前から勝利が決まったようなもの。
苛立ったように中也は髪を乱し、舌打ちをした。
部屋の空気が張り詰める。
事実、芥川もその一人で、因縁の相手と対決出来ないことに相当ご立腹のようだ。
それを樋口が「先輩は素晴らしいギターです!」と褒めちぎっているが効果は薄い。






「まあいい、やるからには徹底的にやる」






せいぜい首洗って待ってろ。
そう呟いた。

同時刻、Detectiveの練習会場では。







「…これは想像以上だねぇ」







ギター担当で、よくファンの女性をナンパする男、太宰は少し驚いたように笑った。
だが笑えているのは彼だけで、他のメンバーは呆然とし、中には腰を抜かす者までいた。







「敦君、本当に凄い子を連れてきたよ」








これはあの小さい帽子男の驚いた顔を見れるかも、と一人ほくそ笑む。
そして、周りの反応を見て失敗したのかという顔をする少女の肩に手を置いた。







「安心したまえ、あれは皆驚いているだけさ」







歌が上手いことと、ファンの心を掴むのは似ているようで実は違う。
歌が上手いだけでは感動するだけで引き込むことはできない。
だが、彼女は"それ"を持っている。







「さ、もう一回通してやってみよう。
対バン、勝つのは私たちDetectiveだ」







時は二週間後、Detective対Black Ruler。
勝つのは、探偵か、マフィアか。
戦いの鐘が今、鳴り響いた。

*→←あるバンドの話 [凛様リクエスト]



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (206 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
445人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。