【文スト】この世界と番外編 その八

マフィアとの海は穏やかではない ［ブラコン様リクエスト］ ページ31

青い海、照りつける太陽、白いビーチ、そして不機嫌そうな乙女。
これぞ夏、これぞ海、と多くの者は思うだろう。
そこにいる者達が堅気でさえあれば。






「A！泳ぎましょうよ！なんでそんなところにいるの」






「…この状況見ても可笑しいって思うの私だけなのかな」






可愛らしい水着を着た金髪の幼女がパラソルの下に飛び込んでくる。
可笑しい、いや可笑しいのはこの幼女ではない。
全体的に海に来てるメンバーが可笑しいのだ。
今さっきも、何処かで爆発音が聞こえた。







「なんでマフィアと海なんかに来てるんだろう…」







Aはパーカーを羽織った状態で以前より短くなった髪をいじった。
事の発端は数日前、マフィアから連絡がきた。






『エリス嬢が海に行きたいと』






「さよなら」







どうでもいい連絡に、すぐさま受話器を置こうとした。
マフィアと海？それもAだけの指名。
誰が行くかと思ったが、その後の展開は流石マフィアと云うべきだった。
海についてくれば今Aが追っている事件の犯人についての情報を提供する、というものだった。
そして、今に至る。
つまり負けたのだ、あまりの好条件に。






「暑い…なんでここにはマフィアしか居ないの…。
一人くらい一般人居ないのか…」







「ここはマフィアのプライベートビーチゆえ、関係者以外は居らんぞ」







非常に妖艶な水着を着た紅葉がニコリと笑った。
その後ろで梶井が爆破実験をしていたのは見なかったことにする。







「さてA、水着を見せてくれぬか？」







危険を察知したAが立ち上がるより早く、紅葉が彼女を押さえつけた。
だがこのままでは振りほどかれるので樋口も呼んでねじ伏せた。
そして着ていたパーカーをひん剥くと、樋口の叫びがこだました。







「スクール水着！？」







その叫びに、近くにいた中也は飲み物を吹き出した。
おい待て、あいつ十八でそれを着たのか、と。







「A！わっちが渡したものを着てないのかえ！？」







「あんな裸同然のモン着るか！！」







「だからってスクール水着は無いです！！色々アウトですよ！！」







「フルボディの水着却下したじゃないか！！
学校指定ならいいだろ！！あんな痴女みたいなの着るなら腹切る！！」







「だからってスクール水着は無い！！」







その後、紅葉と樋口、そして銀に引きづられていくAが目撃された。

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