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風邪の時はちゃんと休みましょう [有栖様リクエスト] ページ36

ピピピッ、ピピピッ…






「何度だい」






「これ壊れてますよ」






「ほーう、なんて表示されてるんだい」






「37.8」







「そりゃあ熱があるからだよ莫迦」






探偵社の医務室、体温計片手に首を傾げるのは仄かに顔が赤いA。
そしてそれを呆れたように見る与謝野。






「確かに怠いですけど…そんなに高いはずは…ゲホッ…」






「咳も出てんのになに云ってんだい、風邪だよ」







「…もう一回計ります」






「アンタ、このやり取り五回目だってこといい加減理解しな」







事の発端は数十分前。
珍しく仕事の進みが遅く、そして顔が仄かに赤いAを不審に思った鏡花が
意地でも医務室に行こうとしないAを賢治と共に引きずってきたのが始まり。
与謝野に渡された体温計で計ると、予想通り熱があった。
しかもかなり高いのだが、Aはそれを認めようとしない。







「正直に答えな、症状は」






「…咳と、鼻詰まりと、倦怠感、あと関節の痛み」






「間違いなく風邪だよ」






「…そんなはず」






「か、ぜ、だ、よ」






「…一回解体してくれませんか」






「生憎、風邪は治らないよ。意地でも認めないつもりだね」






いつもはあんなに嫌がる治療をしようとするAに与謝野はカルテで頭を叩く。
外科医である与謝野から見ても、今のAは間違いなく体調不良だった。
顔も赤いし、目もトロンとして熱があるのは明らか。
それで仕事ができるはずない。






「今日は帰んな。そんな状態で仕事したら悪化するだけだよ」






「…書類整理が未だ」






「いいから!そういうのには素直に甘えておくもんだよ」






与謝野の言葉に暫く考え込んだAは、小さな声ではい、と頷いた。
国木田に報告を済ませ、社を出る。
足元がふらつくが、なんとか歩く。






『喉痛い…太宰さん助ける為に川に飛び込んだせいだ…』







熱のせいか頭がぼんやりする。
早く帰らないと、そう思っていつもなら通らない近道を進んだ。
ある程度歩いたところで誰かにぶつかって尻餅をつく。





「悪ぃ、大丈夫か…ってA?」






「…?」






熱のせいか直ぐに誰か判らなく、相手を凝視する。
それが知り合いの中也だと気づいたのは一分後で、その間微妙な沈黙が流れた。

*→←*



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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時

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