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幼児化白雪姫と魔人 [Emiri様リクエスト] ページ34

カツン、カツンと歩くたびに黒い髪が揺れる。
道行く者達とは同じ人間とは思えないような雰囲気を纏うその人物は
紫色の目にヨコハマの街を映しながら歩いていた。






トンッ







腰の辺りに軽い衝撃を感じて、"彼"は後ろを向き、視線を落とす。
すると、同じ紫色の目と目が合った。







「おや…」







そこには子どもがいた。
濡れたように艶やかな黒い髪に、それと合わせたような濃紫の瞳。
白い肌と赤い唇は幼いながら既に美しさを醸し出していた。
少女は自分を見下ろす男に一瞬目を見開くと、首を傾げた。






「誰…?」







「…おや、これは」







困りましたね、白々しくそんな台詞を吐き、男は少女の前でしゃがんだ。
そして、貼り付けたような笑みを浮かべる。







「大丈夫です、怖くありませんよ」







魔人は少女に微笑みかける。
そして彼が病的なほど白い手を差し出すと、彼女はおずおずとその手を握り返した。






「本当に何も覚えてませんか?」






「知らない」







「そうですか」






少女は、Aによく似た少女はそう云った。
どうしたものかと考えると同時に、元に戻った時捕らえていれば都合がいいと、
裏社会の鼠の頭目は考える。






「やっほードス君!久しぶりだね!…この子どうしたんだい!?
黒髪にその目の色…ハッ!まさか君!!」







「…いきなり現れて一方的に話すのやめてくれませんか。
それと別にぼくの子どもではありませんからね」






いきなり何もない空間から現れた道化師のような格好の知り合い、
ゴーゴリはドストエフスキーと手を繋ぐ子どもを見てマシンガンのように話し始めた。







「はー、びっくりした…とんだサプライズだね。
…え、じゃあその子誰?」






「…まあ、いずれ判りますよ」







ゴーゴリはイマイチよく判ってないようだが、ドス君が云うならそうか!と納得した。
養子にでもするの、馬鹿なこと云わないでください、
そんなくだらない会話をする二人の間、子どもは青い顔をしていた。







『どう、しよう…』








幼児化したAは苦い顔をする。
記憶がないなんて真っ赤な嘘。
面倒ごとにならないように嘘をついたのに、拉致されかけている。







『逃げられそうにない…』







自分の手を掴む魔人を見て、Aは口元がひきつるのが判った。
今ならストレス過多で死ねる気すらした。

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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時

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