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この世界で生きることを嫌った太宰と、全てを諦めそれでも生きた自分。
考え方こそ違えど世界に嫌われていたのは同じ。







「…変な事、云うのだね」








生きてる価値のない世界でも、奇跡を信じて生きる。
太宰からしたら理解ができない事だろう。
でも、







「そうかもね…でも私はそれで救われたから」








「救われた?天使でも現れたの?」








「天使、か…」








そんな綺麗なもの、存在しない。
でも、あの時探偵社に来いと手を差し伸べてくれた"貴方"は







『私に居場所を与えてくれた貴方は、天使なのかもね』







向かいに座る少年を見て、笑う。








「生きていれば天使にも会える。
だから今は生きることに集中すればいい」








そう云い切り、早々に会話を切り上げた。
立ち上がり、財布を手に取る。








「まあ、貴方がどう生きるかは口出しする権利はないけどね」








少年の目が見開かれた。
強い興味を持った、子どもの目。
硝子玉のように美しい目に、自分の姿が映る。








「…ねぇ、僕」








「あ、留守中に逃げるのは勝手だけどここで首つるなよ」








「え、何処か行くの?」








「買い出し、冷蔵庫の中空っぽだから」








じゃあよろしくと部屋から出て行こうとするとバタバタと慌てた足音が聞こえた。








「僕も行く」








「あ、そう。良いけど食べ終わった食器流し台に置いて」








「置いた!」








「よし」








買い出し中、犬に遭遇し太宰が死ぬほど怖がり、そして何故か犬はAに死ぬほど吠えてきたがそれ以外は特に何もなかった。








「なんであんな吠えられてるの、可笑しいよ」








「私、動物と子どもに嫌われる体質なんだよ」








「…呪われてるの?」








「動物は近くを通れば死ぬほど鳴くし逃げるし、子どもは目が合えば泣かれる。
ちなみに唯一寄ってくる動物は猫、それも黒猫限定」







「呪われてるじゃない」








「動物も子どもも好きなのに…」








「…ふぅん、じゃあ僕は?」








「マセ餓鬼」









「酷い」








ぶすっと膨れた太宰を見て、思わずクスリと笑う。








「そうやって子どもみたいにしてる方がずっといい」








ぽん、と軽く頭を撫で、社員寮を目指す。
取り残された太宰は撫でられた頭に触れ、なにかを呟く。








「…見つけた」








その声は彼女には聞こえなかった。

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もこすけ(プロフ) - 有栖さん» リクエスト承りました。嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2018年8月13日 6時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - リクエストです。薬か何かで小泉ちゃんが5歳くらいになって、武装探偵社で天然笑顔や、寂しがり屋を披露して太宰さんの事をお兄ちゃんって呼ぶって感じのお願いします!!!!!多めですみません!この作品めっさ好きです! (2018年8月12日 23時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ゼロレールさん» リクエスト承りました。わざわざコメントありがとうございます。感謝します。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロレール(プロフ) - リクエストいいでしょうか?以前にやった幼い太宰さんの逆トリと同じで、幼い中也さんの逆トリお願いします。後、前回コメントができず、すみませんでした。リクエストは無理でしたらスルーでも構いません。よければ宜しくお願い致します。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 3e587b9082 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 千晴さん» こちらこそありがとうございます。 (2018年8月6日 17時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年7月22日 21時

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