【黒バス】藍色少女の噂話 EXTRA GAME 2

続53話 ページ4

藍澤の今にも射殺さんばかりの視線に黄瀬が固まる。
橙山が「どうしたの？」と首をかしげる。
やはり橙山のセコムは本当に強い。
黄瀬は橙山に「大丈夫っスよ」と言い、
なるべく藍澤の目を見ないようにして汗を拭いた。









『黄瀬さんをどうにかしてやりたいのは後にして、

問題はあっちね…』









先程から目に見えて不機嫌なシルバー。
イラついたように椅子を蹴る様はまさしく怪物。
後半は大暴れしそうだが、問題は彼ではない。









「ナッシュ・ゴールド…」









監督の景虎の説明を聞きながら、
一人ジャバウォックの方を見る。









「…お姉ちゃん」









「日奈も分かりますか、彼の異常さが」









日奈がコクリと頷く。
どうやら考えていることは同じなようだ。









「あの人…ジャバウォックの中でも異彩だよ」









「…えぇ、流れ的にはこちらが勝っているのに

彼を見ていると負けている気しかしない」









ナッシュから感じる、冷たい空気。
数刻前、苛立ちから物に当たり、
不機嫌オーラ全開だったシルバー。
そんなシルバーをナッシュは









「少し黙れ」









その一言で黙らせたのだ。
怒り心頭だったシルバーをたった一言でだ。
その後彼は笑った。
不気味に、狡猾に。
藍澤の背筋をゾッと振るわせるほどの笑みを浮かべた。
そして、藍澤に一瞬目を向けたのだ。









「ッ！！」









本能が警告した。
あの男は危険だと。









「彼をこのままにしておくのは危険です。

実力を見なくても分かる…あの男は…」








ジャバウォックの中で最も危険な男。
早くに手を打たねば手遅れになる。
藍澤は立ち上がり、選手の前に立つ。









「皆さん聞いてください」









あれをどう言葉で表現したらいいのか分からない。
ちゃんと説明できる証拠はどこにもない。
だが、こんな言葉でしか言えないのだ。









「ナッシュ・ゴールド…彼は一番に警戒してください」









「藍澤、いきなりどうしたんだよ」









「青君、うまく言えないんだけど…

あの人は危ない匂いがするの。

ほっておいたら…いつか手がつけられなくなる」









双子の言葉にベンチに静寂が訪れる。
選手の中にはまだ理解できていない者もいる。
だが、彼女達の言葉は決して間違ってなどいなかった。
数分後、それが証明される。

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