【黒バス】藍色少女の噂話 EXTRA GAME 2

続72話 ページ23

三連続で決まった緑間のシュートにより、点差は僅か三点に縮まった。









「イケる…この流れなら…！」









勝利の光が見えてきた。
そのとき、感じた悪寒。
藍澤の本能を揺さぶるような殺気。
それに気づいたのは妹も同じだった。









「その眼を持ってる奴は初めて見たぜ。

オレと同じ眼を」









眼？眼だと？
この男は何を言っている？









「ああ、だがカン違いするな。

同じと言ったが系統がの話だ。

全く同じというワケじゃない」









選ばれた一部の者だけが持てる眼。
それをあの男も持っているとでも言うのか？









「オレの魔王の眼はお前らの目とは格が違うぞ」









ナッシュが赤司の間合いに容易く入った。
まるで散歩でもするように。
赤司はナッシュの動きを警戒してボールを取りに行く。
だが、ナッシュが凄まじい動きで赤司を抜いた。









「嘘っ…！！」









紺野が口を手で覆う。
ナッシュはそのまま紫原の前に進む。
本来ならここで紫原が止められるはずだった。
だが、ボールはナッシュの右にいた選手の手に渡った。









「あの、男…まさか…」









ボールが嘲笑うようにネットをくぐる。
それを藍澤は苦虫を噛み潰したような顔で見ていた。









「あれは系統は同じですが厄介な事この上ない。

赤司さんの眼は対象者が一人限りなのに対し、

ナッシュの眼は対象者に限りがない。

つまり敵味方両方の未来を視ることができる。

未来が操作できると言っても過言ではありません」









「は、はぁ！？じゃあどうやって…」









一対一に持ち込んでも結果は同じ。
他の選手にボールを回しても恐らく…









「防がれる」









赤司が一対一に持ち込み、青峰にパスを出した。
そんなボールもナッシュに奪われた。
それだけでもダメージを受けているのに、
ナッシュは敢えて赤司と向き合った。









「一対一で抜けなく、パスを出させられた…

そんな赤司さんをあいつは嗤ってるんです」









赤司が転ぶ。
かつての赤司の十八番、アンクルブレイク。
ナッシュは赤司の横を通り、ダンクを決めようとする。
ナッシュを火神が体当たりで阻止しようとした。
それすらも罠とは知らずに。









「ガミ君…！！」









鳴り響くホイッスルとボールがネットをくぐる音は
絶望の鐘にすらきこえた。

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