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続70話 ページ21

「で?どうなんです?好きなんでしょう?あの子のこと」








尋問官の如く問い詰める藍澤に、高尾は敗北を確信した。








「…悪いかよ」









ぐしゃりと髪を乱す。
こうなっては言い逃れなどできない。
この女は笑うだろうか?
誰からも愛されるあの少女に恋をした自分を。









「笑いたければ笑えよ…」









自分だって叶わぬ恋だということくらいわかる。
彼女は紛れも無い天才で、誰からも愛される。
自分が手の届くような相手ではない。
でも








「俺だってずっと好きだったんだよ…」









「…」









黄瀬が橙山を好きになる前から。
秀徳対誠凛の試合で、マネージャーながら誰よりも輝いていた橙山。
そんな橙山をいつの間にか好きになっていた。









「俺だって…分かってんだよ…」









叶わない、実らない恋だと。
でも好きになってしまった。惚れてしまった。
膝の上の拳が震えた。
すると、ずっと黙っていた藍澤が口を開いた。









「別にまだ叶わないと決まったわけではないでしょう?」









「…は?」









「叶わない叶わないって思ってたら一生叶わぬ恋のまま」









「でも」









「私はあの子が幸せならそれでいい。

別にあの子の相手が黄瀬さん以外でも構わない。

私が認めるような、あの子にふさわしい相手ならそれでいい」









藍澤の藍色の瞳が高尾を見据える。
どこまでも深いその色に目が離せなくなる。









「貴方は戦う前から負けを認めたようなもの。

愛しいなら奪えばいい。

清く正しく美しく…そんなもの必要ない。

歪でも、幸せな愛ならそれでいい。

あの子が幸せだと言ってくれるなら…

私は貴方が相手でも構わない」









藍澤の言葉に迷いはなかった。
高尾は思わずあっけにとられる。









「大切なら守ればいい。

そんなに愛しいなら繋ぎ止めておけばいい。

奪われるのだとしたらそこまでだっただけのこと」









まだチャンスはある。
そう言っているようにも聞こえた。
そっか、そうだよな。
高尾はニッと笑う。









「戦う前から負けは認めたくない主義だから。

あんたが言う通り、奪ってやるよ」









「あら?私そんなこと言いました?

…ふふふ、あの子を泣かせるのは駄目ですからね」









清く正しく美しく?
そんなもの必要ない。
必要なのは本当の愛だけ。

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もこすけ(プロフ) - ミオさん» コメントありがとうございます。ひっそりと書いていました。嬉しいお言葉をありがとうございます。これからも頑張ります。 (2020年5月11日 19時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 黒バスも書かれていたんですね……とても面白かったです。どの作品もしっかり考えて作られていて、すごいと思います。これからも頑張ってください! (2020年5月7日 19時) (レス) id: 244e2b34cf (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 今井 明希さん» 読んでくださりありがとうございます。少しずつ頑張らせていただきます。応援、ありがとうございました。 (2020年5月1日 12時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - 昨日と今日でいっき読みしちゃいました、、、続編おめでとうございます!続き頑張ってください!待ってます!! (2020年4月30日 0時) (レス) id: d714c1a6ae (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ややるるさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。 (2018年7月7日 0時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2017年3月9日 16時

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