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二十六話 [説得とは難しいもの] ページ28

国木田は爆弾魔の説得を始める。



「おい、落ち着け少年」



途端に爆弾魔は来るなと叫ぶ。



「吹き飛ばすよ!」



刺激しないように手を挙げる。
ここで刺激して爆破されても敵わない。



「知ってるぞアンタは国木田だ!
アンタもあの嫌味な『能力』とやらを使うンだろ!?」



『嫌味な能力か…まあ一般人からしたら異能力者は"特別"なのか』



「妙な素振りをしたら皆道連れだ!」



物陰から太宰にこそっと耳打ちする。



「あれ、余計に刺激してませんか」



「うーむ、まずいね、これは。
探偵社に私怨を持つだけあって社員の顔と名前を調べている」



「…」



「社員の私が行っても余計警戒されるだけか…却説どうしたものか」



「…ん?」



なぜか太宰はAと敦を見ている。
なんだ、何故そんな目で見る。
とてつもなく嫌な予感がした。



「…終わった」









「や、やややややめなさーい!親御さんが泣いてるよ!」



「…爆死は肉片が四方八方に飛び散るからオススメできない」



焦りからうまく発音できない敦と
目つきがちょっとまずいことになっているAが登場する。



「な、何だアンタ等っ!」



太宰の考えた作戦はこう。
社員でなく、顔が割れていない二人に爆弾魔の気を引いてもらい、その先に太宰等が対処をする。
責任重大な任務だ。



「ぼぼ、僕はさ、騒ぎをき、聞きつけた一般市民ですっ!
いい、生きていれば好いことあるよ!」



「…」



「誰だか知らないが無責任に云うな!みんな死ねば良いンだ!」



「ねえ」



その時、黙っていたAが口を開いた。
そして、爆弾魔をスッと見据える。
濃紫の瞳が爆弾魔の目を惹きつけて離さない。



「ここで死んでいいの?
ここで死んだら…恨みを持つ探偵社全員を殺すことは出来ないんじゃない?」



結い上げた黒い髪がさらりと肩からこぼれた。



「恨みを晴らすのも憎しみを抱くのも生者の特権だ。死者は何も出来ない…貴方はそれでもここで死にたいの?それに…」



どこまでも底冷えする声だった。
だって彼女は知っていたから。



「死ぬ覚悟が、貴方にはある?」



階段から落ちる、
いや、"落とされる"恐怖を。
死ぬ瞬間の恐怖を。



「生きるという選択肢を選ぶのは…どう?」



私も、この世界で生きるから。

二十七話 [犯人確保は手腕が試される]→←二十五話 [爆弾魔襲撃の探偵社]



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太宰の包帯希望者 - シリアスううううう!めっちゃ好みです!更新頑張ってください (2月5日 22時) (レス) @page21 id: efd9a7d1a1 (このIDを非表示/違反報告)
条野さんの鈴飾り食べたい - ネタが思いつかないので申し訳ないのですがこちらの『この世界で生きるのは不可能という結論が出ました』の小泉ちゃんとコラボさせて貰っても宜しいでしょうか?誠に勝手で申し訳ございません。 (2022年12月17日 11時) (レス) id: 36ec43f1b9 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 碧さん» ご指摘ありがとうございます。実はあえて意味がおかしい英語にしています。その話自体がギャグのような内容なので、正しい英文より、日本語に直すと面白い英文の方が良いかと思い、あえて間違った内容にしております。 (2021年12月14日 7時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 二十三話太宰の中のドラムになってませんか? (2021年12月12日 18時) (レス) @page25 id: 6588339009 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ルチアーノさん» ご指摘ありがとうございます。直しておきます。 (2021年3月23日 20時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年3月11日 14時

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