【おそ松さん】人形劇場は、上品かつ愛らしく。【病み松】

006:自分勝手に全力前進、世界征服！ ページ7

とても楽しかった！と言えば嘘に為る。

だけど、楽しくなかった！と言っても嘘に為る。

少なくとも、当時の私から見れば赤塚町の皆と遊ぶのは楽しくて。

だけど、今の私から見れば、『普通』の思い出に為ってしまう。

だって、今の私にはもっと思い出らしい思い出が出来たのだから。

『ドイツへの留学』
『雪乃との出会い』
『色んな国の友達』
『教えて貰った戦争知識』

そうして、私は小さい頃を忘れて行く。

自ら過去を捨てて行く。

そして、今を自分勝手に生きている。

まるで、第二次世界大戦中のドイツの様に、そして、日本の様に。

赤塚町へ向かうイヤミの車の中、私はそういう事を考えて居た。

気まずい沈黙に、これからの未来に目を背ける様に。

そんな絶賛現実逃避中の私を目覚めさせてくれたのが、隣の席に座る雪乃とトト子ちゃんだった。

私の耳元でトト子ちゃんは話す。

「＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。」

其の言葉に私の心は強く勇気付けられた。

でも、そんなの外見だけで、本当は勇気なんて持ち合わせて居ない。

其んな私の状況を悟ったのか、雪乃も耳元で話す。

「＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。」

あぁ、そっか。そうだよね。うん。

小さく笑った。

隣の二人も小さく笑った。

私は口パクで、「がんばろうね ありがとう」と言った。

其れに気付いたかどうかは解らないが、二人はさっきよりも大きく笑った。



***

俺達の視線に気付かない。

俺達がイライラで指をカタカタしてるのも気付かない。

そして、そして、それで！

俺達の好意にも！

嫉妬にも！

悲しみにも、喜びにも、諦めにも、怒りにも、独占欲にも！



彼女は、気付かない。

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