05.かすかに動いた指 ページ8
NO SIDE.
敦はここで言葉を濁し、続けた。
敦「……追い出されたんです。経営不振だとか事業縮小だとかで」
『敦だけ?』
敦「たぶん」
太宰「………それは薄情な施設だね」
国木田「…おい太宰。俺たちは恵まれない小僧に慈悲を垂れる篤志家じゃないんだ。さっさと仕事に戻るぞ」
敦「お二人はなんの仕事を?」
太宰「なあに───」
敦は不思議そうに、そしてなぜかAは訝しげにその言葉の先を辿る。
太宰「探偵さ」
そしてその言葉を聞いた瞬間、Aはかすかに指の先を動かした。
本当に、本当に、ここにいる誰もがわからないくらいに。
敦「探偵……」
『……敦、顔にでてる』
Aのいうとおり、敦の顔にはいかにも「何云ってるんだろうこの人」と書いてあるように見える。
『国木田サンが否定しないんだから真実だろー』
敦「探偵って……浮気調査とか猫探しとかのアレ……?」
太宰「違うよ!」
国木田「探偵といっても、斬った張ったの荒事が領分。異能力集団《武装探偵社》を知らんか?」
敦「武装探偵社……聞いたことがあります」
世間一般の探偵とは違って軍や警察に頼れないような危険な依頼を専門とし、昼と夜の世界の間を取り仕切る武装集団。
其の中の社員は大抵異能持ちだということで有名だ。
太宰「そう、それ。私たちは武装探偵社の社員さ」
しかしAも敦も、太宰がそんな凄いものとはあまり思いにくかった。
なんていったって、太宰は目の前で“首吊り健康法”などとのたまって国木田で遊び、ジサツ癖のあるような男にしかみえないからだ。
まぁ実際それは事実ではある。
敦「……それで、探偵のお二人の今日の仕事は?」
気を取り直して聞いたのは敦だった。
Aは未だ何かを考えている。
国木田「“虎探し”だ」
『とら??タイガー?』
太宰「イエス」
するとガタッとものすごい音がした。
全員が見やれば椅子から落ちている敦。
表情は恐怖に染まっていた。
『ど、どした?………敦??』
敦は起き上がりながら言った。
敦「ぼ、ぼぼ僕はこれで失礼します!!」
国木田「待て!」
敦「む、無理だ!奴に人がかなうわけない!!」
国木田「……貴様、“人食い虎”を知っているのか」
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宵凪(プロフ) - ただの一般人さん» ひょえわぁ!?!?めちゃくちゃ褒めてくださる……✨✨✨めっちゃ励みになります、ほんとにありがとうございマス…!!これからも更新頑張ります、ぜひ2もよろしくお願いします〜〜!! (2023年4月20日 7時) (レス) id: 828efe0dfb (このIDを非表示/違反報告)
ただの一般人 - すっ…すごい…!!絵も物語も上手いだなんて…。宵凪さんの文の書き方と絵柄が、めっちゃ好きですちょっとわけてくれませんかお願いします(切実)カゲプロも文ストも好きなのでもう…ダメだ好きすぎた(遺言) (2023年4月20日 2時) (レス) id: 3f9059dfb5 (このIDを非表示/違反報告)
宵凪(プロフ) - りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@受験多忙さん» りりりさんありがとうございますッッ!!㊙エピソード好評で何より……!これからも頑張りマス!応援ありがとうございます!!! (2023年2月19日 10時) (レス) id: 47abe22f42 (このIDを非表示/違反報告)
りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@受験多忙(プロフ) - 途中で出てくる㊙エピソードと一緒に読むと更に楽しめて良いと思いました!!続編も出てるみたいなので拝見させて頂きます!あくまでもご自分のぺースで頑張ってください…!! 長文失礼いたしました! (2023年2月19日 1時) (レス) id: 287586b201 (このIDを非表示/違反報告)
りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@受験多忙(プロフ) - 遅くなりましたが、イベント参加ありがとうございました…!! 夢主の目の設定がかっこいしテンションブチ上がってる中垣間見せるクールな一面が素敵だと思いました!! というか織田作…めっちゃ気になるし敦君の想いがどうなっちゃうのかも気になります… (2023年2月19日 1時) (レス) id: 287586b201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宵凪 | 作成日時:2023年1月22日 12時