一目惚れエマージェンシー<多田野樹> ページ21
高嶺Aさんはドジである。
忘れていたかもしれないが、かなりの驚くほどのドジなのである。
そんな彼女が足元を見ることさえせずに顔を掌で覆って走っていれば?
なんらかのドジをしでかすことは間違いなく、転けるならばまだしも他人を巻き込んでの転倒。しかも押し倒してしまえばどうなるだろうか…
その答えがこれだ。
『あ、あああ、ああの!ご、ごめんなさいごめんなさい!!
私なんてことっ、えっと、あの、大丈夫ですか?って、大丈夫なわけないですよね、本当にごめんなさい!!』
「い、いえ、大丈夫です。貴方こそ大丈夫ですか?とりあえず、その、身体起こして貰えると助かりますというかなんというか…………」
と、倒れ込んだAと、倒れこまれた少年、多田野樹と瞳が合わせあった時だった。
申し訳なさと大変なことをしでかしてしまった恐怖とで目は涙で潤い自然な上目遣いをさらけ出したAを見た瞬間、多田野は目を見開いて固まってしまった。
『あ、ごめんなさい、今降りますね。
えっと、立てますか?それともどこか怪我を…』
「いい、いいい、いえ!!怪我はどこも!!ありがとうございます!!」
『えっ?』
自分がお礼を言う立場だと言うのに何故か言われてしまって不思議に感じ首を傾げて目の前の人物を見据える。
身長はかなり高め、170センチは余裕であるような感じ…言わずもがなAよりはだいぶ大きい。
そして優しそうな顔に男にしては少し高めの声。
稲代実業のユニフォーム…
年上だろうか、物腰柔らかそうな子だな。
なんて冷静に解析しているが、目の前の少年は顔を真っ赤にさせていて、それが気にならない訳もなくAは彼の心の内など知る由もなく堂々と質問してしまった。
『顔、赤いですね。体調悪いなら無理しないでくださいね。あ、暑いですから熱中症に気をつけて水分補給をしっかり!
って、ごめんなさい、初対面の人に馴れ馴れしすぎますよね。
あの、それじゃあ、本当にありがとうございました!』
眉を下げて微笑むと少年の横を通って過ぎ去ろうとした時だった。
「あのっ」
『はい?』
「名前、教えてくれませんか?」
『高嶺Aです。野球部のお手伝いをしてます、何かあったらなんでも言ってくださいね!』
最後にニコリと笑って彼女はまた走り去ってしまった。
多田野樹は熱くなる頬に一目惚れを自覚したのだった。
お色気プレイボーイ<白河・カルロス>→←豹変ウルフ3<成宮鳴・御幸一也>
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鈴蘭(プロフ) - みやさん» ありがとうです!これからも更新頑張ります! (2019年5月20日 12時) (レス) id: 071ba740a7 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 面白いです!!これからも読ませてもらいます! (2019年5月19日 21時) (レス) id: 4612c4ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - レナナミル♪さん» 今回のお話のメインは鳴ちゃんなのでこれからもご期待ください!!笑 (2019年5月16日 23時) (レス) id: 071ba740a7 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - 鈴蘭さん» です!鳴ちゃんファンとしてはもう発狂(いい意味で)ものです!騒いじゃいますよ! (2019年5月16日 22時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - レナナミル♪さん» ありがとうございます!面白いものが書けるよう日々努力しております笑。鳴ちゃんカッコイイし可愛いですよね〜 (2019年5月16日 22時) (レス) id: 071ba740a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水面雫 x他3人 | 作成日時:2019年5月9日 21時