終わりの夜<御幸一也> ページ12
高嶺Aさんは可愛がられている。
"可愛がる"という意味は人それぞれだが、ただ純粋に後輩として、だったり、妹のように、だったり。
それでも中には恋愛感情として、という人もいるわけだ。
といっても当の本人は『優しい人たち』としか思っておらず、好意バレバレだという人だとしても全く気づかぬ鈍感者。
そんな高嶺さんに猛アピールする者がここに一人。
「Aちゃん。
こんな遅くに1人で何してんだ?」
『わっ、御幸先輩?脅かさないでくださいよ…』
真夜中の食堂。調理場から漏れる光の中でAは人知れず朝食の下準備をしていた。
そんな中、何も気づかず手を動かすAに、御幸が声をかける。
『明日の朝食の準備です。』
「へぇ、こんな遅くまでいつもやってたの?
偉いねぇ。」
『そんなことないです。これくらい普通ですから。
それはそうと御幸先輩はなんでここに?
あと、近すぎです。』
偉い、なんて言われるのが少し照れくさくて、Aは自然と笑顔になりながらもお米をといでゆく。
そんな彼女の手元を後ろから覗き込んでくる御幸は、Aの手際の良さに感心するように見入っていた。
が、しかし、自分に視線を向けてくれないのが気に食わないのか少しばかりのいたずらを仕掛けだした。
「俺?俺はちょっと水を取りにね。」
『…そうですか。
あの。聞いてます?近いんですって。』
愛しい人には何がなんでも自分を気にして欲しい。目の前にいるのなら尚更…ただそれだけで御幸はAの肩に自分の顎を乗せて抱きついている。
何度言われようと関係ない。彼は微妙に顔を赤く染めるAが可愛くて、何も話さなくなった彼女の耳に息を吹きかけた。
『んっ!?…え、い、今、耳、息!?』
「ぷっはは、全然言葉になってねぇじゃん
何?そんなにびっくりした?それとも気持ちよかったの?」
顔を真っ赤にさせてこちらを振り向くA。その距離わずか数センチ。
あまりの近さにまた耳までも赤く染めるAを揶揄うように不敵な笑みを浮かべてさらに顔を近くさせる。
『ちちち、違います!!えっと、コレはその…』
言い訳だけが頭に次から次へと浮かぶけれど、それを声に出して言ってしまえばまた御幸の思うツボなんじゃないかと思って口を詰まらせる。
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鈴蘭(プロフ) - みやさん» ありがとうです!これからも更新頑張ります! (2019年5月20日 12時) (レス) id: 071ba740a7 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 面白いです!!これからも読ませてもらいます! (2019年5月19日 21時) (レス) id: 4612c4ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - レナナミル♪さん» 今回のお話のメインは鳴ちゃんなのでこれからもご期待ください!!笑 (2019年5月16日 23時) (レス) id: 071ba740a7 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - 鈴蘭さん» です!鳴ちゃんファンとしてはもう発狂(いい意味で)ものです!騒いじゃいますよ! (2019年5月16日 22時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - レナナミル♪さん» ありがとうございます!面白いものが書けるよう日々努力しております笑。鳴ちゃんカッコイイし可愛いですよね〜 (2019年5月16日 22時) (レス) id: 071ba740a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水面雫 x他3人 | 作成日時:2019年5月9日 21時