始まりの朝<御幸一也> ページ1
高嶺Aさんは雇われている。
正確に言うと住み込みでバイトなるものをしているのだ。
その仕事とは朝から晩まで、この青心寮という場所で家事をすること。
何故そんなことをしているのかと言えば理由は単純なもの。
この、青心寮の要とも言える寮母様が、急な不幸事の連続で不在。
それ即ち食事のピンチである。
それも食事に限ったことではなく、掃除に洗濯、何から何まで寮母さんがしていたものだからそれは大変なことになってしまった。
これでは部活に支障がでてしまう。そう考えた寮母さんは急遽バイトを募集。
そしてそのバイトを受けてくれたのが高嶺Aなのだ。
バイトの報酬はその日余った食材のみ。
料理部の高嶺さんはそれが何よりもの報酬で、嬉しさの余り涙を見せたという。
そんな彼女は今現在、球児達のために朝食を作っている真っ最中。
鼻歌をまじらせ、桃色のエプロンを揺らしながら朝食の食材を選んでゆく…
『今日は和食にしよっと』
朝の６時というまだ誰も居ない食堂に、Aの声が響き、誰に聞き取られることも無く消えてゆく。
どこか楽しげに調理し始めるAが奏でる包丁とまな板の音はリズムを崩すことなく食材を切り刻んでいった。
そしてそんな彼女に歩み寄る影一つ。
Aに悟られぬようにと足音ひとつ立てず調理場へとやってきた少年は、鼻歌までも奏でる少女の真後ろにやってくると、目の前の小さな体にギュッと抱きつき、腕を腰にまきつけた。
『ひっ』
「おはよ、Aちゃん。
今日も朝からご苦労さん。」
『み、みみみ、御幸先輩!?
ちょっ、ノータッチ！ノースキンシップです！
耳元で喋らないで、腰をまさぐらないでください。
食事が焦げちゃったらどうするんです!?』
「え、そっち？食事の方が心配？」
『当たり前です、これ以外に何を心配しろと…』
声だけでわかった御幸一也という存在に、何度も離れろと怒鳴るA。初めこそ聞く耳持たずだった御幸も、これ以上調理の邪魔をするのも行けないと思い離れたが
「Aちゃんはもっと警戒した方がいいぜ。身の安全の為にもな。」
『言えた口じゃありませんよね、御幸先輩。』
いつもスキンシップを仕掛けてくるのは御幸先輩ですよ？と、頬をふくらませて怒りつつ箸を持ち食材を炒めるAを見て、何故か微笑む御幸だった。
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鈴蘭(プロフ) - みやさん» ありがとうです！これからも更新頑張ります！ (2019年5月20日 12時) (
レス) id: 071ba740a7 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 面白いです！！これからも読ませてもらいます！ (2019年5月19日 21時) (レス) id: 4612c4ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - レナナミル♪さん» 今回のお話のメインは鳴ちゃんなのでこれからもご期待ください!!笑 (2019年5月16日 23時) (レス) id: 071ba740a7 (このIDを非表示/違反報告)
レナナミル♪(プロフ) - 鈴蘭さん» です！鳴ちゃんファンとしてはもう発狂(いい意味で)ものです！騒いじゃいますよ！ (2019年5月16日 22時) (レス) id: aefdd45bb5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - レナナミル♪さん» ありがとうございます！面白いものが書けるよう日々努力しております笑。鳴ちゃんカッコイイし可愛いですよね〜 (2019年5月16日 22時) (レス) id: 071ba740a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水面雫 x他3人 | 作成日時：2019年5月9日 21時
