妬いてください#13 ページ13
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暗い夜道を中島と歩く。
「佐伯って、弓道習ってたの?」
「部活が初めてだよ。」
「えっ、そうなの!?」
キラキラとした表情で食いついてくれる。
正面を向いていた顔は私の方へ向けられた。
こう至近距離で見てるとほんとイケメン、
なんて頭の中では意識がそちらに集中していたり。
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「すごい上手だし、何年もやってたのかと思ってた」
センスあるのって羨ましい、と言われたら誰だって嬉しくなる。
眩しいくらいの笑顔に耐えられなくて視線をそらす。
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「ねぇ、1つ聞いてもいい?」
「どうぞ?」
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「中島って、碧衣のこと好きなの?」
気になっていたことを、躊躇いがちに聞いてみる。
「な…、なんでそうなるの?」
「だって部活動予定表は、
部員にしか配られないし、普通はバレー部のことなんて知らないでしょ」
そう言うと、中島は黙り込んでしまった。
「図星でも、深くは聞かないから安心して?」
下を向いてしまった中島をそっと覗きこんで、小声で慰めるように言った。
けれど、
てっきり真っ赤になっていると思ったその顔は…
拗ねたような表情をしていた。
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「そうじゃないんだけどなぁ…」
チラリと視線をこちらに向けて、さみしそうに微笑む。
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「バレー部が休みって知ってたのは、
佐伯が三上さんと話してるとこ見てたからだよ。今日の昼休み」
たしかに昼休み、碧衣に『部活休みだから一緒に帰れない』と伝えられた。
それを見てたのなら、
たしかに知っていてもおかしくないか。
……ていうか、私と碧衣が話してるのを見てたってことは、
「やっぱり中島、」
「あと俺が見てたのは、三上さんじゃなくて佐伯ね」
碧衣のこと好きなんでしょ。そう言いたかったのに、
その言葉は、中島の思いもよらぬ発言によってかき消された。
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「へっ!?」
「だから変な勘違いすんな」
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言葉の意図がよく分からず困っていると、中島が歩みを止めた。
どうやら家に着いたらしい。
「あ、…送ってくれてありがと」
「いえいえ、じゃあまた明日」
手を振りながら、来た道を引き返す中島。
方角違うのに、送ってくれたんだ。
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「優しいな、ほんと」
その呟きは、夜闇に溶けていった。
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美香 - 初めまして!めっちゃ知念君格好いいわ!完成おめでとうございます! (2018年1月31日 22時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
衣月(プロフ) - 知念担かつ弓道部員なのでこのお話すごくいいです!更新頑張ってください! (2018年1月7日 19時) (レス) id: 393bdf7cd9 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 読みましたよ、~!更新おつかれさまでした。もちろんです!ずっと応援してますよ!頑張ってください! (2017年12月31日 0時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
もえあ(プロフ) - の んさん» 書き直すかわりにafterstoryを追加しましたので、よければ読んでみてくださいね(o^∀^o)ぜ、全部…!?わわわっ、嬉しい限りですー!ありがとうございます☆これからも応援お願いします! (2017年12月30日 23時) (レス) id: a6b7387403 (このIDを非表示/違反報告)
の ん(プロフ) - 察しがつきました ! 笑 そんなことないですよ!作品を読んでて知念担のわたしにとってはめっちゃきゅんきゅんしました!笑 もえあさんの作品すごく好きですべて読ませていただいているのでこれからも頑張ってください!長文失礼いたしました。 (2017年12月30日 18時) (レス) id: 3167764a0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もえ乃 | 作成日時:2016年6月4日 21時