seven ページ8
一時間くらいぼーっと空を見上げていた。
今は11月、カーディガンの隙間から肌に触れる冷たい風が涼しくて気持ちいい。
緩んだマフラーをきゅっと結び直して、立ち上がった。
ブーツでカツカツと音をたてながら歩く。
私には、足をあげて元気に歩く気力がなかった。
あっという間に家の前に着いた。
今日は流石に怒られる、怒鳴られる。
頑張れ、彩!
覚悟を決めて、玄関のドアを開けた。
そのさきには、やっぱりしかめっ面したママがいる。
でも、私の涙のあとと真っ赤な目に気がついたのか、
「彩、ちょっと来なさい。」
声を出すと泣きそうになるから、黙ってママについていった。
誰もいないリビング。
テーブルにママと向かい合うように座る。
「彩、辛いなら溜め込まないでいいのよ?言うのが辛いなら言わなくていい。だから、1人で苦しまないで」
いつもより、優しく暖かい喋り方に、込み上げてくるものがあった。
目が熱くなり、雫がどんどんたれてきてせっかく乾いたスカートをまた濡らす。
「ううっ、辛かった、苦しかった。誰にも話せなくて、溜め込んで、破裂しそうになって、うぅーっ」
「辛かったね、気がつかなくてごめんね」
私の隣に来たママが、私の背中をトントンッと優しく叩いた。
私はkzのことはふせて、学校のことを話した。
明日からは学校を休むように言われた。
私、もうどこにも行きたくない。
誰にも会いたくない。
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作者名:流雲 | 作者ホームページ:http://commu.nosv.org/p/moe181031suzuki
作成日時:2019年10月20日 21時