もう逃げない【kz】 (ページ33)

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twenty-eight ページ33

タッタッタッタッ

グズッズッグズッ

マンションの廊下に私の足音と泣き声が響く。

ピッ、ガチャッ、バタンッ

大きな音が耳にも響いた。

ローファーを投げるように脱いで、電気も着けずに自室に入って鍵を閉めた。

誰も私の心の中に入らないで、荒らさないで、、

せっかく楽しかったの。

信用できる友達もできて、私の性格に合うはずのない格好を無理してやったら、嫌われたりすることもなくなった。

部活もバスケ部に入って、すごく充実してて。

うまくいってる、幸せになりそうだったの。

お願いだから壊さないで、、、お願い、、、っ！

多少無理をしたこともあった。

この姿も鏡で見ると変わっている。

でも、無理した分だけ嫌われないっていうものが返ってきてる。

静かに立ち上がり、部屋の電気をつける。

真っ暗な部屋が一気に明るくなり、眩しくて目を細める。

全身鏡の前に立ち自分の制服姿を眺めた。

カールした長い睫毛に艶々した唇。

毛先が一束ごとに違う向きで跳ねている髪。

短いスカートと緩く締めたネクタイからも、イマドキのJKっぽく見える。

数年前の自分からは考えられない姿。

中１の頃は、周りに流されず自分を大切にしていた。

だけど、今は嫌われたくなくて無理してる。

これって自分が望む姿なの？

あーもう、考えたって仕方ないじゃん。

やーめた。

ピンポーンッ

だ、誰、、、

重い体を引きずるように玄関に行った。

開けるとそこには、柚衣がいた。