太陽の君と月の私。【kz】

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「ハアッハアッ」




２対１。




俺の回りには、俺の息の音とドリブルの音しかしない。




外野はしーんっとしてる。




向こうはお互い指示し合う手強い２年生チームだ。




だが俺だって一応エース。




負けるわけにはいかない。




相手が息を抜いた時を狙い、自慢のドリブルの速さでどんどん近づく。




１人目はうまく交わせた。




問題は次の先輩。




一度止まり、ふうっと落ち着く。




よしっ




一気に突っ込んだ。




一か八かで左に行くと先輩が動いたのは右。




よっしゃ




そこから一気にゴールへ向かい、シュート。




「おおぉ！」




「美門、さっすが！」




「エグいって〜」




周りから歓声が聞こえる。




こめかみを流れた汗が首をつたる。




練習用のTシャツの襟で汗を拭く。




「美門、なんで分かった？」




さっきの先輩が寄ってきた。




「勘っすね」




そう言うと大爆笑された。




「やっぱ、監督がスカウトしただけあるわー。




すげぇな、勘って」




「ありがとうございますっ」




そう言い終わると同時に集合、と合図があり全員が集まって練習は終わった。




足早に体育館を出て辺りを見回す。




「美門くんっ！」




立花さんが裏から走り寄ってきた。




「裏にいたんだ。」




「うん、シュート見たよ。




カッコよかった！すごいね！！」




目を輝かせながら喋る立花さん。




男に素直にカッコいいって言っちゃうんだ笑




でもやっぱり、嬉しかった。

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