太陽の君と月の私。【kz】

・ ページ17

じわあっと、もやあっとする暑さ。




ムシムシする熱気に、セーラー服が汗ばむ。




「あっつ、、、」




思わず呟いた。




７月に入り、中学生にも慣れてきた頃。




本格的に夏になり、登校するために自転車にまたがるけど、汗が滲み気持ち悪い。




駐輪場に自転車を止めて、昇降口に走る。




暑い、暑い、暑ーい！




早くエアコンの効いた教室に入りたいっ！




前髪が張り付くのが分かる。




パタパタと手で顔を扇ぎながら階段を上った。




ガラッ




ふわあっと冷たい空気が体全体を包み込む。




さいっこう。




「よぉ立花、暑いな。」




挨拶してきたのは、クラスメートの片山悠飛。




「うん、暑いね。」




彼は、私が所属する文芸部の特別顧問。




何で同い年なのに？っていう疑問は、、、、察してほしい。←




「ビショビショじゃん、汗っかき。」




憎まれ口を叩きながら、タオルを投げられた。




「ダメだよ、片山くんが部活で使うんだから。」




片山くんは、野球部にも所属している。




掛け持ち、、、みたいな？




「いーのいーの、もう一枚あるし。」




「、、、分かった。




ありがと。」




多分、嘘。




２枚なんて、持ってきてるわけない。




でも、片山くんは受け取らないと怒る。




拗ねちゃうんだ。




まあ、片山くんが優しいから貸してもらったってことにしとく。




人の優しさは素直に受け取るのが自分の優しさ。




って、どっかで読んだ本に書いてあったもん。

・→←私たちの夏

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す