お仕事です 8 ページ10
鴎外さんの目はただただ真剣そのものだった。
否、彼の場合は鋭利なメスだろうか。
「Aちゃんは確かにポートマフィアには向いていない」
発せられた言葉は残酷で、しかし解りきっていた事だった。
それでも、何故だかこの人に云われると如何しようも無く逃げ出したくなった。
もう嫌だ、聞きたくない。
自分から聞いたくせに、私はなんて臆病で卑怯者なんだろう。
これ以上は止めて、聞きたくない、貴方の口からだけは、どうしても。
「だけど其れは今に始まった事では無いだろう?」
ふつり、と何かが弾ける様な、解ける様な、切れる様な。
そんな不思議な感覚だった。
そうじゃない。…そうじゃ、ない…?
もっと責めて、立ち直れないくらい貶して、もう此処から追い出して、捨てて、棄てて、そして────
ぐちゃぐちゃになった精神が、涙を溢れさせる。
「Aちゃんに1つ良いことを教えてあげよう」
段々と鴎外さんが近付いて来て、私の前で立ち止まる。
「君はこの部屋にいれば死体を見ることは無い。私の世話係である限り、ね」
微笑んだ彼の笑顔の裏にはきっと何か別の理由があるのだろう。
ふと直感でそう思った。
だけど取り敢えず今は、今だけは。
此の人の奇妙な優しさに甘えてみようと思った自分がいた。
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もちうどん。(プロフ) - 焔さん» ありがとうございます!申し訳ないのですが、Twitterの方で通知が来ず、垢名がわかりませんので教えてもらえると幸いです (2018年1月14日 18時) (レス) id: add17265eb (このIDを非表示/違反報告)
もちうどん。(プロフ) - 伍目神さん» ご指摘ありがとうございます。予測変換で出したもので実在の方の漢字になっていました…。修正させていただきました。 (2018年1月14日 18時) (レス) id: add17265eb (このIDを非表示/違反報告)
焔 - ツイッターフォローしましたよー! (2018年1月14日 15時) (レス) id: 51d4d11a23 (このIDを非表示/違反報告)
伍目神(プロフ) - すみません設定キーワードについてですが、上記のではなく森鴎外だと思われます。 (2018年1月13日 13時) (レス) id: de0f021735 (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム - 罪深いほど格好い(真顔)。 (2018年1月7日 20時) (レス) id: d020a027fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちうどん。 | 作成日時:2018年1月4日 11時