混沌な吸血鬼たちと (ページ19)

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その甘いのでいい　人外組のみ※微ページ19

『っ、ぅ…』

チョコ渡すつもりだったのに、どうしてこんなことになったのか。
今朝は栄斗が突然部屋に入ってきて、やけに積極的だった。
チョコ用意したからあげますって言ったのに、血入りじゃないのが気に食わなかったせいで只今吸われている。

そんな…血入りチョコ作ろうって普通思わないでしょう。
前によく○○入りチョコってなんか流行ってはいたけど、貰う側もさすがに引くでしょうに…。

「チョコもいいけど、やっぱAのが一番良い…」

『い、いつでも飲めるじゃないですか…っ』

「こっちの方が甘くて美味しいから好き」

ぺろり。と赤い痕が付いた所を舐められてぞわっと身体が震える。
するとドアをノックする音がして、返事をする前に急に開けられる。

「A様、失礼いたします…なにしてんだお前」

香助が入った途端に眉間に皺を寄せて栄斗を睨みつける。
栄斗も邪魔が入ってきたせいか、むすっとした顔になる。

『あ、あの…今日バレンタインなのでチョコを渡そうとして…！』

違うんです。と必死に身振り手振りで説明するが、彼らの目線から火花が出ているんでないかってくらい睨み合っている。

「さっさと離れろや。Aが困ってんだろ」

「今いいとこだったんだから邪魔すんなよ」

『あ、あのお二方…』

ぎゅううっと力強く抱きしめられて苦しい。
そして香助に片腕を掴んで離そうとして力強く引っ張られて痛い。
普段お互い面倒事避けてすぐやめるのに、今日はやけに必死で困惑する。

「もうお前は十分飲んだだろうが、どけや」

「は、なにお前も飲もうとしてんだよ」

『ちょ…っと！？痛っ…！』

腕を噛まれて吸い付かれる。
香助が他の誰かがいる前で血を飲むのは珍しい。
飲んでいる姿を見て栄斗もごくりと喉を鳴らす。
我慢できなくなったのか、彼もまた首元に齧り付いて吸い始める。

『ぁ、朝からそんな…っ！』

「お前、こっち噛んだことないんだ」

「…っ？」

香助がにやりと笑って太ももに噛みつく。
首元には栄斗に占領し足側には香助があちこち噛みついて堪能されてる。
2人同時に血を吸われたらさすがに意識が…。

「ん…ほらA倒れちまったじゃねえか」

「はぁ…っ、あろまが邪魔するからだろ」

「…なんだそのチョコ、Aが作ったのか」

「…血入れてくれなかったから直接」

「気が利かねえやつだな。もっかい飲んどくか」

「は…？もう飲んだだろお前」

「お前も結構飲んでんだろうが」

モットホシイノニ…。

終