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「や〜、真希ちゃんたちが教室に向かった後、ぐっすり寝たらだいぶ良くなりまして」
えへへ、と何故か照れながら言う花宮に狗巻はほっとしたような、禪院は呆れたような表情を見せた。
「馬鹿は風邪引かないってのは嘘みてーだな」
「真希ちゃん、馬鹿は体調管理ができないから風邪を引くんだよ!」
「じゃあお前は馬鹿だな」
「ちが……あれ?そういうことになるね?」
いつも通り天然ボケをかます花宮を横目に、パンダは狗巻に"Aがいると落ち着くな"と声を掛けた。
「もうそんなに元気なら見舞いの必要もねーな。
これやるから、今日はとっとと飯食って風呂入って寝ろよ」
「え、え〜!折角来てくれたんだからもっとお話してよ〜」
「風邪移ったらめんどくせーから嫌」
「真希ちゃ〜ん……」
禪院の言葉がグサグサと花宮の心に突き刺さり、見兼ねたパンダがフォローに入る。
「こう見えて真希もちゃんとAのこと心配してたから安心していいぞ」
「真希ちゃん……!」
「うるせぇ」
先程とは打って変わって、キラキラと目を輝かせて禪院を見つめる花宮。
禪院はうっとおしそうに、でもどこか優しい表情で花宮をあしらう。
「真希ちゃん、今日は私いなくて寂しかった?
真希ちゃんの為にも今日は早く寝るね〜!」
「別に寂しくねーよ。
……いや、寂しかったなぁ?棘」
「…………。」
元気そうな花宮を見て安心していた狗巻に、突如話を振る禪院。
思わずバッと思いっきり視線を横に外す狗巻。
「そう?棘くん寂しかった?」
「お、お、おか………………
……しゃけ」
恥ずかしいので"おかか"と言おうとするも、少しだけしゅんとした花宮の表情が見え、正直に答えた狗巻。
花宮のこの表情を前にして勝てる程狗巻は強くはない。
「ほらな。
お前がいないと棘が使えねーから、早く戻ってこいよ」
「今日の棘はAにも見せてやりたかったな」
「おかか!」
「あははっ、」
大好きな同級生のやり取りに、花宮は花が咲いたような笑顔を浮かべ、"もう絶対風邪は引かない"と心に誓った。
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作者名:もち明太 | 作成日時:2021年1月30日 3時