ずっとこのままで【楓原万葉】

“約束” ページ9

平蔵side

「うん、ここら辺にしようか。」

人気が無い静かな森に着くと、僕はAの手を離し、
Aの方を振り向く。

「単刀直入に聞くんだけど、“約束”で変に感じた事は無いの？」


『っえ•••••ううん、無いかな。』

「•••そっか。じゃあ、Aは万葉に初めて会った時、
万葉は元からあんな感じ？」

『どうだろう。あんまり分かんない。』

最悪だ。
回答が曖昧過ぎる。
何か口封じでもさせられているのかって思うんだけど。

「最後の質問。
読み書きは一日5分で足りてるの？僕からしたら足りてないと思うんだけど？」

少し辛口に言ってみると、淡々と質問に答えていたAの表情が崩れ、
嫌い表情になった。

『•••••••足りてない。もうちょっと増やしてって言っても万葉は
「コツコツとやる事が大事でござる。一気にやっては道を誤るでござる。」って言ってた。』

な、何それ？•••そんなんじゃまるで

「ゆっくりゆっくり覚えていけばいい、直ぐ言葉を覚えるな」

と言ってる様なものだよね？
Aは足りないって言ってたし、この事にどう思ってるんだろう。

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