捻くれ者のクソガキ【放浪者】

女子力ゼロ ページ22

ヤベェ。
非常にヤベェ。

放浪者が来る時間まであと30分。
なのに私は服が決めれない。
ヤバくないか？



このぐらいの見た目の年頃の女の子は皆、流行とかに敏感なんだろうな•••••••(偏見)
別にさ、放浪者と出かけるからって気合い入れようとしてる訳じゃ無いんだけどね。

まぁ、こんな事を言っている私だが、同じ服ばかりしか持っていない。
これ、女子力ゼロ？？



『別にいつも通りの格好で良いよね？』


もうヤケクソになり、いつも通りの格好に着替え、放浪者が来るのを待った。







暫くすると、家のドアをノックする音がした。

『あ、はーい！』


私がドアを開けると、ゴツン！と鈍い音がした。
恐る恐る外を見ると、放浪者の笠が落ちていたのと、額が赤くなっていた。

『え？•••あ、マジか。ごめん、放浪者。••••••その〜大丈夫？』


「大丈夫だと思うかい？」

『大丈夫じゃないね。ごめんなさい。
ほれ、落ちた笠。ちょっと土が付いてたから軽く落としたけど•••••』




すると放浪者は無言で笠を受け取り、深く被った。
そして手を私に差し出して来た。

『•••えっと、手繋げって事？』


「嫌なら良い。」



放浪者は手を引っ込めようとしたが、その時の顔が悲しそうに見えた。

『待って！』

「！！」


『•••••••手、繋いで良い？』



放浪者は少しの間、固まっていたがフンと鼻で笑った。

「早く行くぞ」


そう言って私の手を引いた。
•••ご機嫌なのか放浪者は少し笑っていた。

私は放浪者は笑えるんだな、と少し笑ってしまったのは秘密。

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