#34 下手なイメトレは甘苦味 ページ34
お茶を飲みながら、あのハスキーボイスくんの家に行くことをイメトレしてみる。
“あ！いらっしゃい”
“待ってたよ〜”
多分、2人とも飛び切りの笑顔だ。
そしてここから、私は何を言えばいい？
“こんにちは”
“あは、何？固すぎない？”
…ダメだ。“こんにちは”って、無難な挨拶そうで全然無難じゃない。
“………”
“ねぇ廉、何でこの子ずっと黙ってるの？”
って……なるのが、怖いから！
ちゃんと言葉を用意しなくちゃ。
えっと、どうする。どう言えば正解？
“パンツ、乾かせましたか？”
“なぁ……Aちゃん、男のパンツにはあんまし口出しするもんやないで”
……いや、いやいや。
これだけは無い。絶対に無い。
「おーい。聞いとる？」
「……わっ、あ、すみません」
結局最悪な台詞しか出ないまま、私のイメトレは呆気なく終了。
ブンブンと目の前で振られる掌に、雲が散るように消えていった。
「あのさ。紫耀も海人も変わっとるけど、なんやかんやで良い奴らやから。安心してな？」
「あ…きっと、優しい人たちなんだろうなってのは、ちゃんと分かってるんですけど」
…というか、こんな永瀬くんがいつも一緒にいる2人のことだ。
怯える必要なんてない。怖がらなくて良い。
痛いほど分かってる。
結局、問題なのは1人だけ。……私自身だ。
「うん。人と話すのに、慣れてないんやな」
「…はい」
「んー…」
どうしたらええんやろ、って言いながら、背もたれにもたれて息を吐く。
私が並外れた人見知りなせいで、なんか彼まで悩ませちゃっているみたい。
…だけどこれだけ親身になってくれてるって思うと、嬉しいような気もしてちょっと複雑。…図々しいかな？
「んまぁ…おれともこんだけ話せてるやん。そりゃ最初は怖いかもしれんけど、今日が終わる頃にはきっと打ち解けとるよ」
「そう…ですかね」
「あいつらなら多分何言っても平気やし。何でも笑いに変えてまうのが取り柄やからな」
そう言って、永瀬くんは何かを思い出したかのようにクスっと笑う。
「ほんまええ奴らよ。そんな気構えんで、リラックスしてこ。な？」
「わ…分かりました。じゃあ、頑張ります」
「ふは、だから頑張らなくてええんやって。…そろそろ行ける？」
「あ…あと、ひと口だけ」
「ん」
……大丈夫。だってそう、ちゃんと今話せてる。
永瀬くんだってそばに居る。
だからきっと…大丈夫だ。
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もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
